年齢や障害の有無に関係なく楽しめて教育的効果にも期待
第210回オンラインシンポレポート・後半

活動報告|レポート

2026.9.11 Fri
年齢や障害の有無に関係なく楽しめて教育的効果にも期待</br>第210回オンラインシンポレポート・後半

概要

超教育協会は2026年7月8日、一般社団法人日本ドローンサッカー連盟 代表理事の中﨑 寛之氏を招いて、「Drone Soccerと教育の新しい可能性―ドローンとサッカーを掛け合わせた全く新しいUniversal Extreme sports!」と題したオンラインシンポジウムを開催した。

 

シンポジウムの前半では、中﨑氏が新しいスポーツ競技であるドローンサッカーの概要と教育的効果について講演し、後半では超教育協会理事長の石戸 奈々子をファシリテーターに、視聴者からの質問を織り交ぜながら質疑応答が実施された。その後半の模様を紹介する。

 

>> 前半のレポートはこちら

 

「Drone Soccerと教育の新しい可能性―ドローンとサッカーを掛け合わせた全く新しいUniversal Extreme sports!」

■日時:2026年7月8日(水) 12時~12時55分

■講演:中﨑 寛之氏
一般社団法人日本ドローンサッカー連盟 代表理事

■ファシリテーター:石戸 奈々子
超教育協会理事長

 

 

▲ 写真・ファシリテーターを務めた
超教育協会理事長の石戸 奈々子

 

シンポジウムの後半では、超教育協会の石戸 奈々子をファシリテーターに、視聴者からの質問を織り交ぜながら質疑応答が実施された。

ドローンサッカーだからこそ「育まれる力」とは何か

石戸:「視聴者の皆さまからも多くのご質問をいただいておりますが、まずは私からお伺いします。ドローンサッカーは韓国で誕生した競技ですが、まず、その誕生の経緯について教えてください。また、現在、韓国ではどのような位置づけの競技となっているのでしょうか」

 

中﨑氏:「韓国では国策として注目されているという背景があります。次の産業革命を担うツールの一つとしてドローンが有望視されており、国土交通省にあたる韓国の国土交通部が、ドローンを活用した新たな取り組みを模索していました。その要望に応えたのが全州市にあるメーカーで、ドローンサッカー用のボールと競技そのものを開発しました。こうして韓国では国策としてドローンサッカーの普及が進められてきたという経緯があります」

 

石戸:「韓国では現在、どのくらいの方がドローンサッカーに取り組んでいるのでしょうか。また、国際大会も開催されていますが、現在は世界でどのくらいの国・地域に広がり、競技人口はどの程度まで拡大しているのか、お聞かせください」

 

中﨑氏:「韓国では登録していないチームもあるため、正確な競技人口は把握できていません。直近の情報では約2,500チームが存在しています。1チームは控えを含めて10人編成で、単純計算で約2万5,000人のプレイヤーがいることになります。

 

特徴的なのは、韓国では大学が非常に熱心に取り組んでおり、学生リーグも存在していることです。いくつかの大学にはClass40用の専用競技場が常設されており、国内大会もそうした大学で開催されています。私自身も参加したことがあります。さらに現在は8チームがセミプロとして活動しており、競技としてのピラミッド構造ができあがりつつあります。

 

世界に目を向けると、現在は29の国と地域に広がっており、加盟手続き中を含めると33の国と地域になります。アジアだけで15の国・地域が加盟しており、全体の約半数を占めています。最近加盟したのはサウジアラビアです。チーム数は明確には把握できていませんが、韓国が圧倒的に先行しており、その次に日本、そして最近になってアメリカが本格的に取り組み始めています。アメリカでは教育団体も関心を示し、高校での導入も始まっていると聞いています」

 

石戸:「日本でも、先ほどのお話ではさまざまな学校で導入されているとのことでしたが、どの学校も主体的に情報を得て導入を始められているのでしょうか」

 

中﨑氏:「そうですね。私たちは学校への営業活動は一度も行っていません。最初に導入してくださったのは大阪の私立高校で、ドローン研究部があり、校内にはドローンライセンススクールも設置されています。研究部の部員が競技大会に参加したことをきっかけに、正式な部活動としてスタートしました。そこの卒業生が現在の日本代表です。

 

また、大分県はドローンサッカーの国内最初の導入拠点です。県立情報科学高校が日本で初めてドローンサッカー部を設置し、その初代部長は現在、私のビジネスパートナーであり、ドローンサッカーの公式アンバサダーを務めています」

 

石戸:「ドローンサッカーで強いチームには、どのような特徴があるのでしょうか。また、どのような力を持つチームが良い成績を残すのでしょうか」

 

中﨑氏:「もちろんドローンの操縦技術は重要ですが、サッカーやラグビーと同じように、仲間を信頼できるチームが強いですね。仲間を信じ、自分にできないことは率直に伝え、課題を共有し、それぞれが挑戦できる環境があるチームは大きく成長します。自分には厳しく、仲間には思いやりを持ちながらも、改善すべき点はしっかり伝え、お互いに向き合えるチームが強いチームになると思います」

 

石戸:「チームワークが大切である一方で、一人ひとりがスキルアップして競技力を高めることも必要ですよね。どのような練習を行い、どのような力を育んでいるのでしょうか」

 

中﨑氏:「ポジションによって異なりますが、基本的にはドローンを思い通りの位置で静止させたり、狙った場所へ正確に飛ばしたりする技術が求められます。各選手は自宅でも個人練習を行い、それに加えてチーム全体で連携を合わせる練習も欠かせません」

 

石戸:「視聴者の方から『ドローンサッカーだからこそ育つ力は何でしょうか』というご質問です」

 

中﨑氏:「ドローンサッカーには、まずボールという実際の機体があります。その内部にはプロペラやモーター、基板などが組み込まれており、それらが正常に動いて初めて飛行できます。このリアルな機体を自分の手でメンテナンスする必要がある点が、多くのeスポーツとは大きく異なるところです。

 

実際にドライバーでネジを締めたり、ニッパーで部品を切ったり外したりする作業は、今の生活では触れる機会が少なくなっています。ものづくりに必要な工具を使う技術を身に付けるきっかけになると思います。ハンダ付けも、今では経験のない人が多いかもしれませんが、必要性や興味があれば自然と習得していくでしょう。そうした技術を段階的に身に付けられることも、ドローンサッカーならではの特徴だと思っています」

 

石戸:「続いて、『導入を検討する学校が最初に直面しやすい課題と、その解決方法を教えてください』という質問です」

 

中﨑氏:「まずは競技を行う場所の確保です。4メートル×8メートル、高さ3メートルのケージを設置・収納できるスペースが必要になります。学校では広めの教室を活用している例もありますが、競技場所を確保できるかが一つのポイントです。この点については、ドローンサッカー連盟と関係のあるオートバックスセブンを通じてご購入いただくことで、比較的スムーズに導入できます。

 

もう一つは機材導入費です。ドローンボールは1台2万6,000円ほどするため、学校予算の中でどのように整備するかが課題になります。多くの学校では助成金を活用しながら導入を進めています」

 

石戸:「続いても、視聴者の方から『実際に導入している学校や自治体では、どのような成果や反響がありましたか』という質問です」

 

中﨑氏「大分県ではドローンサッカーの聖地という位置づけで、さまざまな取り組みが行われてきました。県からは、この『聖地』というブランドを生かして世界大会を誘致したいという声もいただいています。他の都道府県からも、将来的にワールドカップを誘致したいという話が出ています。学校現場では、新しい部活動のツールとして期待されているという声をよく耳にします」

 

石戸:「ドローンサッカーの普及に向けては、場所やコスト以外にも課題があるのでしょうか。また、現在、特に困っていることは何でしょうか」

 

中﨑氏:「やはり情報発信だと思います。2019年の導入当初からテレビ東京に取り上げていただいたり、新聞にも掲載されたりしましたが、その時だけ話題になっても継続的な発信にはつながりません。広報が私たちの大きな課題です。

 

もっと多くの方に知っていただくために、大会の様子をリアルタイムとオンデマンドの両方で配信したいと考えています。『観るスポーツ』として発展させたいです。画面上で選手紹介や過去の戦績、技術解説などを表示できるプラットフォームが構築できれば、さらに普及が進むと思っています。やるべきことは明確ですが、実現には資金が必要であり、そこが大きな課題です。高校生や大学生など学生にスポットを当てるためにも、多くの方に配信を見ていただくことが重要だと考えています」

 

石戸:「教育現場への導入をさらに進めるという方法もあると思いますが、その点で、現在検討していることやチャレンジしていることはありますか」

 

中﨑氏:「これまでさまざまな省庁の方々とお話しする機会があり、ドローンサッカーの競技特性や教育効果について説明してきました。こうした機会を増やし、新しいスポーツ教育ツールとして学校現場で認めていただき、韓国やアメリカ、インドのように教育現場へ広く導入される流れをつくることができれば素晴らしいと思っています」

 

石戸:「韓国では実際にそうした流れがあるのでしょうか」

 

中﨑氏:「韓国では国土交通部がドローンサッカーの大きなスポンサーになっています。導入当初は、小学生への普及を目的に学校へボールを配布したと聞いています。私が2019年に大会を視察した際には、Class20カテゴリーで、日本のリトルリーグのように子どもたちがチームをつくり、保護者がサポートするという熱気がありました。機材の提供も国の機関が担っていたと聞いています」

 

石戸:「ありがとうございます。最後に、今後の抱負について一言お願いいたします」

 

中﨑氏:「ドローンサッカーは、まだメジャースポーツではなくマイナースポーツです。しかし、その本質にあるのは人の成長であり、その価値は他のスポーツにも決して引けを取りません。だからこそ、この競技をメジャーな存在へ育てていくことが私たちの使命だと考えています。私たちだけの力では限界がありますので、本日ご視聴いただいた皆さまにもぜひ応援していただき、広く発信していただければと思います。皆さまとともに、この競技を大きく育てていきたいと考えています」

 

最後は石戸の「多様な立場の方々が同じように参画できる、テクノロジーを活用した新しいスポーツとしての可能性や、学びのツールとして活用できる可能性を感じました。まだまだ普及の余地がある分野ですので、日本から世界へ羽ばたく子どもたちが、さらに増えていくことを期待しています」という言葉でシンポジウムは幕を閉じた。

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