5Gを活用した新しい授業実践に向け、今後の検討課題を議論
第1回5G×教育ワーキンググループ

活動報告|5G×教育WG

2020.9.2 Wed
5Gを活用した新しい授業実践に向け、今後の検討課題を議論</br>第1回5G×教育ワーキンググループ

概要

2020年7月27日、「第1回 5G×教育ワーキンググループ」をオンラインで開催した。当ワーキンググループは5Gの教育利用について当事者および有識者を招いた議論を深める場として設けられたもので、初回は今後議論すべき課題を各メンバーがプレゼンテーションするかたちで進行した。その模様を紹介する。
 
 
【第1回 5G×教育 ワーキンググループ】
■日時:2020年7月27日(月)10時45分~11時45分
 
■プレゼンテーター/参加者(敬称略):
土井秀文  クアルコム・ジャパン 政策渉外本部長
斎藤茂   KDDI株式会社 渉外・コミュニケーション統括本部 渉外・広報本部政策調整室長
須田貴保子 ソフトバンクグループ株式会社 CEOプロジェクト室 政策渉外グループマネージャー
兼清知之  日本電信電話株式会社 NTTサービスエボリューション研究所主席研究員
大谷麻由美 毎日新聞社 ビジネス開発本部教育事業室 室長
宮島友香  毎日新聞社 ビジネス開発本部教育事業室 委員
中尾彰宏  東京大学大学院情報学環 教授
村瀬剛太  総務省 情報流通行政局 情報流通振興課 情報活用支援室 室長
田中智大  総務省 情報流通行政局 情報流通振興課 情報活用支援室 課長補佐
中村伊知哉 iU学長、超教育協会専務理事
古賀稔邦  iU副学長
宮島徹雄  iUイノベーションマネージメント(IM)局長
 
■ファシリテーター:
石戸奈々子 超教育協会理事長

【前半プレゼンテーション】

本ワーキンググループ(WG)の冒頭、ファシリテーターを務める石戸理事長は本WGの狙い、および、初回の内容について以下のように説明した。
 
石戸:超教育協会では、Society 5.0時代にふさわしい教育を構築すべく「AI×教育」、「ブロックチェーン×教育」、「VR・AR×教育」など、さまざまなWGを設置して議論をしています。
 
加えて「5Gの教育利用」について議論を深める場があるといいのではないかと考え、このWGを設置するにいたりました。今回は初回ということで、そもそもみなさんがどういう議論をしたいと思っているのかを伺い、論点を整理できればと考えています。
 
石戸理事長のこの発言を受けて、本WGを構成する組織それぞれの代表者が順番に、5G関連の取り組み、および今後の検討課題について、プレゼンテーションを行った。

総務省 村瀬氏:よい授業実践を普及させたい

村瀬氏: まず「5Gの特長」をお伝えしたのち、政府全体として教育ICT政策の動きがどうなっているのかを紹介します。そのうえで総務省の取り組みについて述べます。
 
5Gの特長には、「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」の3点があります。ビジネスや生活を大きく変える可能性があると言われている中で、教育現場でどういった可能性があるのかを考えていくことになります。例えば「超高速」ということでは、一般には、2時間ものの映画であれば約3秒でダウンロードができる。これまでは5分もかかっていたわけです。
 
教育の場合は、オンラインになると、「個に応じた教育」が期待されます。習熟度に応じた教育などが可能になるわけです(個別最適教育)。学校間によって教員のリソースに差がありますので、「専門教育」、とりわけ技能系の授業で5Gが機能する可能性が広がっていくのではないかと捉えております。また、先の話になるかもしれませんが、「健康管理」も交えてバイタルデータを交えた連携というものもありうるかもしれません。
 
政府全体の取り組みを見据えますと、教育のICT政策というパッケージにおいて、文科省では「GIGAスクール構想」により、1人1台の端末の配備と、学校の中のLAN整備に取り組んでいます。一方、総務省では、教育現場の課題解決に向けたローカル5Gの活用モデル実証などに取り組んでいます。
 
今後、2020年度予算に計上している「GIGAスクール構想」の展開が進んでいくと思います。GIGAスクール構想は、一義的には「LAN整備+Wi-Fi」といった学校のICT環境の整備になっていますが、より中期的な先を見据えると「5Gのユースケース」を周知していくといったフェーズになるかと思います。
 
5Gのユースケースということで、授業実践としてふさわしい教科・科目にどういったものがあるのか、5Gの特長を活かす実践をどう考えていくのか、その際には地理的な環境や児童生徒の数、財政事情を踏まえて、現場に即した通信手段を合わせて考えていこうということで、最終的にはガイドブックをつくり、全国に普及させていきたいと考えております。

東京大学 中尾氏:臨場感を備えた教育を実現したい

中尾氏:私から共有したい情報を一言でまとめると、「5G・ローカル5Gで『臨場感』を伝える教育ができるのではないか」となります。
 
今日もZoomで会議をしている一番の原因はコロナウィルスの脅威ですが、最新の情報通信技術を用いて人間の移動を解決することが、今後我々が考えなくてはいけない重要な課題と考えられています。Zoomは(モニター上に表示されるので)平面的ですけれども、三次元的な仮想現実によって「臨場感」を伝える教育が必要なのではないかと考えています。
 
少し違った観点から言いますと、出身地域とか留学生の出身国といった文化的な背景を教育の現場に仮想的に持ち込み、日常生活のコミュニケーションも仮想現実的に実現しながら、新しい学びが実現できるのではないかと考えています。
 
さらに、先ほどローカル5Gのお話が総務省からありましたけれども、我々も取り組んでおります。特に地域の課題解決とか地域創生においてです。これらを教育の題材として「5Gを用いた遠隔監視・制御」を常態化してはどうかと考えています。
 
以上が今日お伝えしたいことですが、少し補足させていただきます。セキュアな環境を5Gで提供することが必要ではないか、という点です。(現状の)Wi-Fiにはパスワード等の運用上の問題があります。5Gでは高度な認証が使えますので、例えば途中で変な人が割り込んできたりといった事故がないようにできます。
 
我々はすでに地域の人たちとこうした取り組みを始めています。例えば東京都やNTT東日本とローカル5Gのオープンラボを設立しています。ここでは、ローカル5Gを使った「HoloPortation(ホロポーテーション)」という技術を用いています。これはもともとマイクロソフトが提唱した技術で、5Gとの組み合わせは我々が最初となります。例えば、私の三次元モデルがみなさんの手元に圧縮されて、リアルタイムに伝送されれば、対面でお話をしているようなかたちで遠隔の会議、教育講義等ができます。特に手を動作しながら教えたりすることが必要な教育現場では、こうした技術が必要ではないでしょうか。これを我々は「遠隔コーチング」と呼んでおり、現在はWi-Fiで実現しています。

クアルコム 土井氏:5Gを支え、そのポテンシャルを使いきりたい

土井氏:最初に、黒子的な仕事をしているクアルコムについて紹介します。設立35周年を迎え、売上高は約2兆円、従業員は3万7,000名ほどおります。業態については、Enabler(イネーブラ)、つまり「何かを可能にするものたち」と自らを定義しております。研究開発をして、その成果をライセンスであったり、半導体という中間製品であったり、あるいはソフトウェア・アプリケーションというかたちで提供する、というのが使命です。ですから、我々は最終製品を提供しているのではありません。製品ということでは、(スマホなどに使われている)Snapdragon(スナップドラゴン)が主体になります。
 
クアルコムはこれまで移動体通信をリードしてきました。2GではGSMに採用されました。3Gでは、CDMAで最初に実験成功したのがクアルコムです。W-CDMAで世界を席巻したことで急成長しました。そして、5Gの基本特許を今一番持っているのがクアルコムで、各社端末にチップを使用していただいています。375個のデバイスが発売済み、もしくは開発中で、5Gの端末と基地局等々についてもクアルコムが支えているというくらいの心意気で取り組んでおります。
 
最後に、このWGにかける意気込みとしては、“Let’s Go Crazy!!”ということで、5Gのポテンシャルを使いきって、「もうビヨンド早く来い」というぐらいのアイディア出しをして、その実現に向けたロードマップづくりに取り組んでいきたいと考えています。これが本WGに参加した思いです。

KDDI 斎藤氏:最新ICTの普及活動と格差解消に期待

斎藤氏:ここでは「当社の教育への取り組み」「5G時代の教育の姿」「当社アセットの紹介」「当WGに期待すること、議論したいこと」の4点を紹介します。
 
「当社の教育への取り組み」では、日本の子どもたちのためにサステナブルな社会を実現するために、通信事業者としてWith / Afterコロナにおける教育関係の整備に貢献していきたいと思っています。例えば、当社の子会社で中小企業向けのソリューション提供を行っている「KDDIまとめてオフィス社」では、主には私学を中心に、モバイルとクラウドの高速ネット環境や「教材・学習管理システム」、導入後のサポートを提供しています。このほかにも、当社が出資する会社が教育事業を手掛けております。AEON(イーオン、英会話教室)、Schoo(スクー、コミュニティ参加型の学びの場)などです。
 
次が「5G時代の教育の姿」です。ひとつは地域間の教育格差や教員の担い手不足を遠隔教育で解決できるのではないかと考えております。もうひとつが、今回のテーマである5Gの特性やxR技術を活かした新しい体験の提供です。例えば、多拠点による合同授業。英会話なら外国人の教員が遠隔で授業をするとか、音楽の授業なら遠隔地間で合唱を行うとか、です。あとは、VR・AR技術を使ってバーチャル上でリアルタイムの共同作業ができるような環境が出てくるんじゃないかなと考えております。
 
これらを実現する「当社アセットの紹介」ということでは、通信会社として5Gネットワークを整備します。さらにパートナーやスタートアップと連携して次のような取組をしています。「Synamon(シナモン、VR空間上で会議等々をできる)」「Spatial(スぺーシャル、ARを活用した仮想会議空間)」「AR飛び出る絵本(仮称)」などです。
 
「当WGで期待すること」は、「教育業界への最新ICT技術の接点形成普及活動」「地域・都市間の教育環境の格差解消」「海外との格差解消、あるいは海外成功モデルの取り入れ」になります。「議論したいこと」のひとつは、「ハイブリット教育の中で5Gが果たせる役割とは何なのか、どんな学びのスタイル、ユースケースを提供できるのか」。もうひとつが「5Gがもたらす遠隔授業や学びの質の向上を公平性の観点でどう考えるか」です。

NTT 兼清氏:学校の役割を果たすための技術について議論したい

兼清氏: NTTの研究所、および我々の5Gに対する興味について紹介します。我々の研究所は、NTTグループの会社から独立して、独自に研究開発を行っております。その目的は、社会産業や学術の発展に寄与していくことです。約2,500人の研究者がいて、基礎研究から比較的ビジネスに近いところまで、幅広く研究開発を行っています。
 
私は今、コミュニケーションとかUX / UIの研究をやっているグループのマネージメントに関わっています。少し前までは「Kirari!」という臨場感を持ってスポーツをみんなで共有しようという研究のマネージメントにも関わっておりました。
 
NTTにおいても、Afterコロナおよび経済活動の活性化という両方相反する要件の中で「分散型社会」になっていくのではないかということで、その研究にも取り組んでいます。その枠組みの中で、5G、および、その先のビヨンド5G、そして「オールフォトニクス」のような「高品質」「大容量」「低遅延」が「低消費電力」を実現するIOWN(アイオン)構想に基づいて分散型社会の実現を目指しています。教育を含めて、この実現に向けて何ができるかに取り組んでいるところです。
 
コロナ禍での「新しい生活様式」においては、教育分野では当然、遠隔授業などが前提になっていくでしょう。ただし、遠隔授業だけでは学校の役割を果たすのは難しいとも考えています。学校の役割には知識の獲得以外にも、集団行動での規範を学ぶなどがあると思います。これについては、遠隔教育だけだと難しいのはないでしょうか。
 
ただし、現状のWEB会議では当然難しいと思いますが、AR・VRなど超臨場感を伴った環境が進んでいく中では実現可能性が高まります。5Gの特長的な機能を使いながら、知識獲得以外の役割を果たすための技術についても一緒に議論していきたいと考えています。

毎日新聞 宮島氏:サービスのよりよい提供手段を技術で実現したい

宮島氏:我々が今取り組んでいる教育事業について紹介しつつ、この場に期待することも少しお話したいと思います。
 
毎日新聞社の教育事業室では、さまざまな教育事業、例えば「読書感想文のコンクール」「音楽系のコンクール」などを主催しています。また、新聞記者の能力を体系化し、いわゆる表現力を子どもたちに育成してもらう教育プログラムを昨年の秋にリリースしたりもしています。
 
新聞記者には、多角的に世の中の物事を捉えて、新たな問題を発見し、それを取材して、分かりやすい言葉で伝えていくという能力が求められます。これは新聞記者に限らず、あらゆる職業において必要な能力だと思っています。そのため、新聞記者の能力を体系化した教育プログラムを開発・提供しているわけです。現在は高校や大学、さらにはちょうど先週授業を行ったのですが、警察大学校でも研修を請け負って実施しています。
 
例えば新聞を使って見出しを考えるということは究極の要約ですので、記事をしっかり読んだうえで「何がどうした」を考えてもらったり、文章を構造化してしっかりと理解したうえでインタビューをして記事を書いたり、といったことを出前授業形式で提供しております。
 
ただ、出前授業形式ですとどうしても現地に出向いていく交通費がかかったり、人件費がかさんだりというところがあって、公教育での導入に向けてはコスト感が合わず難しいという意見をたくさんいただいております。本WGを通して、この課題を技術で解決できないか、皆さまのお知恵をいただきながら、何かご一緒できないかと考えております。

【後半 議論】

こうした各組織による5G関連の取り組み、および今後の検討課題のプレゼンに続いて、後半は議論が展開された。石戸理事長はプレゼンに基づきながら、5Gを活用した新しい授業実践やその普及、通信環境等に即した通信手段の選択、およびその費用負担がこのディスカッションでの論点になると指摘した。以下、主な論点と発言を取り上げる。

●通信費用等の費用負担について

石戸:アフターコロナ教育はオンラインのハイブリッドな教育になると考えると、通信負担の課題は、大きな論点だと考えています。もしご意見があればWGとしてとりまとめたいのですが、いかがでしょう。
 
斎藤氏:学校における通信環境整備は当然進んでいくと思います。そういった学校や自治体が整備した端末等々を家庭に持ち出しができるようにするといったやり方はあるのではと考えています。
 
石戸:これまでは「教育のICT化」というと「学校のICT化」が主な論点でしたが、今後は「家でも学校でも常にネットにアクセスできることを前提とした学びをどう構築するか」が重要だと思います。つまり「家のICT化」に論点がうつったということです。本WGで議論したいテーマだなと思いますので、後日メーリングリストでご意見やご提案を送ってください。
 
5Gに関しては、「5Gで実際どうなるの?どんないいことがあるの?」というのが、イメージとしてなかなか伝わりにくいと感じていいます。これが伝わらないのでは、5Gは普及にいたらないのではないでしょうか。ですので、「5Gで教育がこうなるという具体的なイメージやメリット」を、事例を含めて整理したいと思います。総務省は、これから実証実験されると述べてられましたが、具体的にはどういうことをされるのですか?
 
村瀬氏:今年度は「超高速」に取り組みます。学校でアクセスがスムーズにいかないことがデジタル教材を活用する上での課題がありましたが、これを克服する狙いです。これ以外に、例えばデジタル教材は体験学習にフィットしやすい側面があると思いますので、理科や社会などでの動画学習を通じた興味関心の広がり、深まりなどに取り組みます。あるいはプログラミングなど、みんなで一緒になって情報を共有する共同学習においても、教材や指導方法の改善について実証・研究することもできたらと思っています。
 
石戸:超高速の利点を活用した実証に取り組むのですね。eスポーツや医療分野では「低遅延」が重要だと思うのですが、教育ではどうでしょうか。
 
中尾氏:先のプレゼンで遠隔コーチングという例を出しましたけれども、私の動作を石戸先生に伝えたいと思ったときにZoomの画面でいろいろやってもなかなか伝わりづらいですよね。その代わりに、HMDやARグラスを使って、動作を手元で体験してもらう、こういった事例が超高速と低遅延の両方を活用するいい例になるのではと思っています。
 
石戸:臨場感の演出のようなところで、より役に立つのではと思います。すでにパートナーとVR空間をつくったり、AR教材を使ったりされているKDDIでは、5Gを導入することによる効果はどのように捉えていますか。
 
斎藤氏:今おっしゃられたように、高速で低遅延になることに期待しています。先に述べたVR会議・AR会議というのは、どうしてもリアルタイム性が大事になります。合同合唱・合同演奏などにおいても、低遅延は大事です。そういったリアルタイムという観点で、5Gを活用する意義は大きいと考えています。
 
石戸:もうひとつ、多拠点に繋げられることに関していうと、NTTが指摘されていた「知識以外のところ」が重要ではないかと思います。大学の授業でもオンライン授業のメリットを感じつつも「対面の授業が恋しい」という声も聞かれます。人と人で温度を感じて、五感でコミュニケーションしたいという本能的な欲望を満たしてくれる技術があるとオンラインでの授業に変化があるのでは?また多拠点をつなぐことでより一層協働学習がすすむのでは?
 
兼清氏:映像だけでは、音と画像だけになっているので、いろいろな情報がこぼれている難しさがあるのではと思います。これまでは容量がネックとなって情報がこぼれ落ちているのですが、5Gは大容量なので、通信がネックになることはまずないと思っています。
 
臨場感ということでは、人の触覚みたいな感覚を伝え合うときがきたときに、遅延が大きいと違和感も大きくなります。こういった分野にも取り組んでいます。
 
石戸:クアルコムは“Go Crazy!!”と述べてられましたが、クレイジーな5Gの利用方法で考えていらっしゃることありますか。
 
土井氏: 社内でもいろいろと議論をしていて、決め手となるキラーコンテンツがないと5Gの普及は難しいのではないか、という意見も正直あります。これまでの4Gの延長となるコンテンツでは5Gの能力を使いきれない、という議論が当社の一部でもあるのです。そこでさまざまなブレイクスルーを求めて議論をしています。
 
医療や限られた分野、特にファクトリーオートメーションには期待感があります。ただ、ファクトリーオートメーションに進むにはまだちょっとチップの価格面でネックが大きい。やはり数が出るスマホが普及してくれて、チップの価格が下がり、そこで初めてファクトリーオートメーション分野に進めるというふうに捉えています。そういう点ではスマホベースで使える教育がひとつの突破口になると期待しています。
 
石戸:キラーコンテンツの話がありましたが、たしかに「Kirari!」とか見たときの感動はすごいですね。毎日新聞はコンテンツ面で5G×教育に貢献されたいと述べられていました。こういうコンテンツが5Gと相性がいいのではないかといったご意見はありますか。
 
大谷氏:「記者トレ」では、VRを使って現場で撮った映像を子どもたちがグラスで見て表現する、といった活動に取り組んでいます。非常にリアリティがあって厚みのあるレポートになります。ただ、なかなか機材がうまく使えないなどの難しさもあります。
 
石戸:ありがとうございます。ソフトバンクではいかがでしょう。
 
須田氏:ソフトバンクとしてはまず通信業者として、5Gの整備をきちんとしていきたい。さらにその上に載せるコンテンツを展開したい。そこで、キラーコンテンツを今まさにいろいろな部署で検討しているところです。
 
これまでの代表的な教育の事業でいえば、ペッパーのプログラミングがあります。こういった事業をどういうふうに5Gでさらに興味深いものにしていくのか、今まさに検討しているところです。今後このWGを通して、いろいろな教育事業を紹介しつつ、ご意見をいただけたらと思います。
 
 
石戸理事長は、以上のディスカッションを踏まえ、今後議論すべて点として以下の3点を総括した。
 
1. ICT教育推進のための通信料
2. 5Gの教育分野における国内外の事例やアイディア
3. 具体的な実証実験
 
そのうえで具体的な実証実験を展開する場としてのiU 情報経営イノベーション専門職大学を紹介、iU学長の中村(超教育協会専務理事)は次のように述べた。
 
中村:僕は5Gに3点を期待しています。すでに議論が出ていますが、1つ目が「超高速・低遅延を活かしたVR・AR、あるいは4K・8Kなど巨大コンテンツの開発」。2つ目が「超多数接続」。たくさんの子どもたちに一斉にコンテンツ、あるいは授業を届けるという意味での学校の環境をそろえること。この2点のゴールのひとつとしては、未来の教室を設計することだと思っています。
 
3つ目は、「家庭の環境」です。学校は日本に約4万校あります。GIGAスクール構想は4万校の話だったんですよ。それが、子どものいる全世帯の話にこれからなる。つまり1千万世帯の話になるので、250倍大きいことにこれからなってくる。そこに向けてどんな環境を整えるのかということを、本WGで議論していただければと思っています。
 
iUという大学を4月からスタートしました。新しい学校なので大学まるごとテスト環境としてみなさまに差し出そうと思っています。コンテンツから学校の施設まで、好きなようにいじっていただけるとありがたいなと思っています。
 
最後に石戸理事長が、今後はメーリングリスト等で継続議論する旨を一同に確認、さらに第2回の開催を促して、本WGを終了した。

おすすめ記事

他カテゴリーを見る