アフターコロナ時代のオンライン授業を「共創」する第9回オンラインシンポ「オンライン授業を学べる『ロイロ超スクール for teacher』」レポート・後半

活動報告|レポート

2020.9.3 Thu
アフターコロナ時代のオンライン授業を「共創」する第9回オンラインシンポ「オンライン授業を学べる『ロイロ超スクール for teacher』」レポート・後半

概要

  超教育協会は2020年7月13日、授業支援アプリ「ロイロノート」を展開する株式会社LoiLoの取締役COO 杉山竜太郎氏、ロイロ超スクール校長 愛光中学・高等学校教諭 和田誠氏、ロイロ超スクールリーダー 野中健次氏の3氏を招いて、「オンライン授業を学べる『ロイロ超スクール for teacher』」と題したオンラインシンポジウムを開催した。シンポジウムの前半は「ロイロノート・スクール」の機能や授業で活用することのメリットの紹介、休校期間中に開講した全国の子どもたち向けのオンライン授業「ロイロ超スクール」と、先生向けのオンラインセミナー「ロイロ超スクールfor teacher」の説明、後半はファシリテーターの超教育協会理事長 石戸奈々子を交えて参加者からの質疑応答を実施した。その後半模様を紹介する。
 
>> 前半のレポートはこちら
 
「オンライン授業を学べる『ロイロ超スクール for teacher』」
■日時:2020年7月13日(月)12時~12時55分
■講演:杉山竜太郎氏 株式会社LoiLo 取締役COO
和田誠氏 ロイロ超スクール校長、愛光中学・高等学校教諭
野中健次氏 ロイロ超スクールリーダー
ファシリテーター:石戸奈々子 超教育協会理事長
 
 シンポジウムの後半は、ファシリテーターの石戸奈々子が、参加者から寄せられた質問を杉山氏、和田氏、野中氏にぶつけるかたちで行われた。

▲ 写真・ファシリテーターを務めた超教育協会理事長の石戸奈々子

全国の学校・先生たちで オンライン授業のノウハウの共有を

石戸:「当協会でも全国の先生が協力して、全国の子どもがオンラインで学ぶ環境をつくる仕組としての超小学校をつくると良いのではないか、と模索していた時、『ロイロ超スクール』を知りました。その後、先生向けのオンライン授業のノウハウ提供も始められると聞いて、今回のオンラインシンポジウムにご登壇いただきました。
 
 早速ですが、はじめの質問は先生方についてです。ロイロノートのユーザーなどICTに慣れた先生と、オンライン授業は全く未経験で今回の休校に危機感を感じてチャレンジされた先生と、どちらの参加が多かったのでしょうか?」
 
野中氏:「授業によって差はありますが、概ね過半数が初心者の先生でした。各教科の授業が始まる前に1時間ほど、ロイロノートの基本的な使い方や、機種別のZoom接続方法などを説明する『初心者講習』を行いました。」
 
石戸:「ロイロノートの導入は、自治体・学校・学級など、どの単位で導入するところが多いでしょうか。また、利用料はどこが負担するケースが多いでしょうか。導入を検討する現場では、非常に気になるところです。」
 
杉山氏:「私立高は学校単位、公立校は自治体単位が多いです。費用は、私立高の場合は受益者負担で生徒の保護者が1人1台の機器とロイロノートの利用料も負担するかたちです。市町村だと自治体の負担で導入する形が多いですね。ただ、ロイロノートは学校単位でも自治体単位でも、初年度の1年は無料でお試しいただけます。機器についても、半年単位でiPad無料貸出しを行っています。ロイロノート利用料、LTE通信料も弊社負担で実施しています。ご検討いただければ幸いです。」
 
石戸:「これまで教材の自作にこだわってきた先生は、ネット上に開示された他の先生たちの教材の利用には踏み切れないのではないでしょうか。実際どのように活用されているのでしょうか。また、教材作成に対する先生方の意識は変わってきていますか?」
 
野中氏:「ノウハウページの教材をそのまま使うのではなく、それをもとにしてに『私ならこうできそう』と考えて使っている先生たちが多いです。ノウハウページは、各教科とも2000~3000のページビューがカウントされているので、ある程度の先生がご覧になっているのだと思います。」
 
和田氏:「確かに、教材やプリント作りにこだわる先生は多いですが、今後の教育の『個別最適化』という方向性を考えたとき、一人の先生があらゆる学力層に対して自前の教材を用意するのは難しいでしょう。社会科の授業ノウハウでは、『TTPS=徹底的にパクってシェア』という造語を使っていますが、ネットに公開されている『良いもの』はどんどん活用すべきだと個人的には思います。」
 
石戸:「先生たちがより簡単にロイロノートを使いこなして、授業の質をさらに高めていけるようにするために、今後どのような対応をしますか?」
 
杉山氏:「例えば、ロイロノートのカードやノートの機能では、画面上にデータを貼り付ける操作の自由度をもっと高めるなど、より簡単に共有できるようにしたいと考えています。また、『資料箱』の機能を強化して、より直感的な操作で、ロイロノートで作成したカードを全体で共有できるようにするようなことも考えています。」
 
石戸:「『アフターコロナ社会』では、教育も従来の形式や内容から変わらねばならない、という意見が高まっています。ロイロノートの授業案をみると、まさに今後、目指すべき『探究型の学習』がICTを使って具現化されていると感じられますが、先生たちの間で『アフターコロナ教育』へのヒントになるような議論は出てきていますか?」
 
杉山氏:「例えば、オンライン上で探究目標をいくつか設定して、学年の枠を越えたプロジェクトでそれを進めて行こうという学校があります。既存の学校の仕組みを越えて、オンライン上の新たな組織、あるいはクラスで探究を完結させようという考え方は、個人的には非常に興味深いと感じます。」
 
石戸:「今回、オンライン授業に初めて取り組んだという学校が多かったということでしたが、実施してみて新たな『気づき』はありましたか?」
 
和田氏:「ICT環境が整備されていたとしても、『オンライン授業は難しい』という気付きがありました。それと、『ロイロ超スクールfor teacher』にも、実は『良いオンライン授業を探求する』という裏テーマがありました。アフターコロナに向けて、オンライン授業や学習スタイル、教育活動をどう変えていけばいいのかを、オンライン飲み会も含めて話し合うことも結構重要なテーマだったのです。その答えはまだ出せていませんが、その4週間、皆で考えたこと自体がすごく大きいことだと思います。」
 
石戸:「特別支援とICTの相性の良さはかねてから議論されているところですが、ロイロノートを使った特別支援の実例などはありますか?」
 
杉山氏:「ロイロノートのサポートサイトではロイロノートを活用した実践事例をたくさん紹介しています。『特別支援』と検索していただけば、関連する実践事例が掲載されています。特別支援にはいろいろな形があって一概には言えませんが、一般的な実践事例から参考にできることは多いと思いますので、ぜひサポートページを検索してみてください。」
 
石戸:「ロイロ超スクールや、ロイロノートを使った自宅学習に関して、保護者と子どもからはどういう反応がありましたか?」
 
野中氏:「ロイロ超スクールでの2週間、ほとんどの授業に参加した子どもがいました。実は、その子は不登校だったのです。オンライン授業で、しかも今回は、今しかできない探究的な学びが多かったこともあり、毎日楽しく、ワクワクしながら参加していたそうです。イベントの最後に実施した『卒業式』では、保護者の方から「こんなに楽しそうに授業を受けているのを初めて見ました」とお礼を言われ、これはオンラインの大きな利点だと感じました。『やめないでください、続けてください』という保護者の声は他にも多かったですね。
 
 このように子どもたちや保護者からも良い感想をいただきましたが、実は3月に実施した『ロイロ超スクール』では、いくつか失敗もあったのです。そこで、ロイロの講師陣は『こうするとうまくできた』とか『これは失敗した』という事例をドキュメントにして共有しました。それによって、少しずつですが全体のレベルが高まっていくのを実感できました」
 
石戸:「まさに緊急事態宣言の真っ只中だからこそ生まれた『共創』の場だったわけですね。オンライン授業は、家庭のサポート具合によって生徒の学習進度に差が出る懸念があります。そのような格差をカバーするための配慮や工夫はありますか?」
 
和田氏:「確かに、オンライン授業では画面の向こうは見えませんし、Zoomに参加しない生徒も一定数いて、取り組みの差が学力差に出てしまうのが現実です。私たちもオンラインが万能とは考えていません。私たちにできることは、家庭に根気強く働きかけていくことと、コンテンツの質を上げていくことしかありません。時間はかかりますが、少しずつベースを底上げしていく努力をしないといけないと感じています。」
 
杉山氏:「先生方はぜひシンキングツールセミナーにご参加ください。もうすぐ始まる『夏のシンキングツール祭り』にも来て欲しいです。ロイロノートに関しては、ウェブページでの紹介のほか、サポートページにほとんどの情報をアップしていますので、そちらも見てください。」
 
最後に石戸の「どうもありがとうございました。ロイロノートの活用やオンライン授業のノウハウに関心をお持ちの先生たちは、ホームページにアクセスして実際にどんな授業が行われていたのか、どういう事例があるのかなど、参考にして頂ければと思います」という締めの言葉で講演会は幕を閉じた。

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