概要
超教育協会は2026年2月17日、光村図書出版株式会社 企画戦略部の半沢 賢治氏を招いて、「AIアバターが教室に『TOC-ME!assistant』で広がる授業支援」と題したオンラインシンポジウムを開催した。
シンポジウムの前半では、半沢氏がAIアバターを教室に呼び出して英語の授業をサポートするアプリ「TOC-ME!assistant」のコンセプトや内容について講演し、後半では超教育協会理事長の石戸 奈々子をファシリテーターに、視聴者からの質問を織り交ぜながら質疑応答が実施された。その前半の模様を紹介する。
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「AIアバターが教室に『TOC-ME!assistant』で広がる授業支援」
■日時:2026年2月17日(火) 12時~12時55分
■講演:半沢 賢治氏
光村図書出版株式会社 企画戦略部
■ファシリテーター:石戸 奈々子
超教育協会理事長
半沢氏は約30分の講演において、生成AIとアバターを活用した英語授業の支援アプリ「TOC-ME!assistant」について話した。主な講演内容は以下の通り。
AIアバターを活用した英語の授業の「お助けアプリ」
光村図書出版は、主に小中高校の検定教科書を発行しています。国語の教科書をイメージされる方が多いと思いますが、英語や書写、美術、道徳など文系教科を中心に教科書を発行しています。1949年の設立から2026年で77年目を迎えます。「目の前の子どもたちに何ができるのか」、そして「未来の子どもたちに何ができるのか」を常に考え、教科書ないしはその他の周辺出版物を通じて、子どもたちに向き合いながら共に歩んできました。
当社では2026年春から「TOC-ME!assistant」というAIを使った授業のお助けアプリを発売します。
これは、教室の中に設置されたテレビやモニターにアバターをうつして英語の授業をアシスタントするアプリです。現場の先生方と話しをしていると、「もっとネイティブの英語に触れさせたい」、「TT(Team Teaching)のようなかたちでフォローが欲しい」、「ALT(外国語指導助手)が毎時間来るのは難しい」、「スピーキングテストをもっとやりたい」などの課題が分かってきました。
こうした課題を解決し授業をアップデートできることができないか、そう考えて開発に取り組みました。ChatGPTなど生成AIよって英会話や言語の生成ができるようになったことを受け、「アバターが先生のアシスタントをしてくれるアプリ」を作りました。
工夫した点は大きく3つあります。使いやすさ、分かりやすさ、導入しやすさです。ICTが苦手な先生も多いので操作方法をシンプルにして、ダッシュボードで使用状況など現状が把握できるようにしています。料金体系も月額1万円のサブスクリプションで導入しやすくしています。これら3つをコンセプトに開発しました。
▲ スライド2・「TOC-ME!assistant」の
コンセプト
具体的に備えている3つの機能を説明します。
▲ スライド3・「TOC-ME!assistant」が
できる3つのこと
1つ目は、Small Talkができる機能です。ALTの先生がいないときにSmall Talkの相手になってくれるもので、先生や生徒はアバターを相手に、設定した文法やテーマ、単語などをもとに会話できます。その日の授業や先生の狙いに沿ったモデルトークをすることができます。
2つ目は、授業の雰囲気作りです。現場の先生は教室の空気を温めたり、何か変化をつけたりするためにゲームをすることがあるかと思います。そんなときに、簡単なクイズや、そのヒントや答えを自動生成してくれる機能を備えています。先生が毎回、クイズやヒントを考えるのは意外に大変という声がありました。そこをサポートしてくれます。
3つ目は、Speaking Testの練習相手をしてくれる機能です。AIが発音や文法などを判定してくれるので、Speaking Testの前の練習や、隙間時間でのSpeaking Testの相手として活用して、自分で確認ができます。
レベルやテーマを設定してAIアバターと会話するSmall Talk
次に具体的な利用方法を説明します。※実際には動画で説明でした。
▲ スライド4・「TOC-ME!assistant」の
教室での使用風景
実際に利用するときには、先生がパソコンやテレビにアバターを映しながら生徒と会話します。アバターは、あくまでもアシスタントです。
Small Talkでは、まず先生がその授業で学ぶ文法やワードやテーマをカテゴリーから選びます。
生徒に学んで欲しい文法を選べるほか、例えばcanやwillなど助動詞の使い方、覚えて欲しい動詞などをフリーワードで設定することで、目的に合ったSmall Talkを実施できます。
テーマについて、お勧めのテーマがレコメンドとして表示されますが、それ以外にも選べるようになっています。例えば学校や学習に関すること、季節に関することなど、さまざまなジャンルがあり、関心があることについてのSmall Tankができます。フリーテーマでもできるので、先生が話したいテーマや内容について自由にアバターと話すことも可能です。フリーテーマを選ぶと、最初にアバターから「今日は何を話す?」と聞いてくるので、「今日は、○○○について話そう」と先生が話してから、会話がスタートする仕組みです。
また、設定モードでは、アバターに呼んで欲しい名前やニックネームを入力したり、話すスピード、会話や単語のレベルを設定したりできます。レベルは初級モードと中級モードがあります。
中級モードは英検3級レベル、対象は中学校3年生程度です。初級モードでは、小学校6年生から中学校1年生くらいのレベルの単語や文法事項を中心に構成されています。聞き取りにくい場合や通信回線の状況で音声が途切れがちの場合などには、キャプションを表示して内容を確認できます。将来的には上級モードを設定する、アバターの人数を増やすといったことを検討しています。
AIアバターとの短い会話で評価やアドバイスを受けられるSpeaking Test
次にSpeaking Testの使い方を説明します。Small Tankと同様にテーマ、ワード、文法などを選んで使います。テーマでは、よくSpeaking Testでよく利用される内容を十数個、抜粋しています。テーマを選ぶ以外にも、例えば「不定詞を入れたかたちでテストをしたい」など、先生が自由に設定してテストを実施できます。
実際にテストを始める前に出席番号や名前を入力すると、先生用の管理画面からSpeaking Testの結果一覧を確認でき、生徒ごとにデータを抽出することも可能です。
内容はSmall Talkと同様にアバターとの会話で、レベルやラリーの回数、発音判定の厳しさも選択できます。テストが終わると、判定画面が出てきて、文法、発音、文脈など評価をしてくれます。
例えば「文法の安定感と時制の使い分けが素晴らしいです。発音はもっと改善点があるので、強弱の練習を日常的に取り入れましょう」といったアドバイスもしてくれます。下の方には和訳が出るので、アバターが何を話していたのか分からないときには、日本語訳をオンにして確認できます。文法の評価がBやCのときには、アドバイスが出ます。
最後にGameの使い方を説明します。Gameは、まさに今、開発中です。現在できるのはWord Hint Quizのみです。先生が事前に答えを用意し、その答えをもとにアバターがクイズやヒントを出してくれる仕様です。
先生は事前に答えを20個登録できます。基本的には毎回、違う答えとなるように設計され、ヒントを繰り返し聞くこともできます。聞き取れなかったときには、テキストを表示することもできます。答えを間違えると「Try Again」となるほか、途中で答えを知りたい場合には、正解を見ることもできます。
簡単なクイズではありますが、例えば新出や頻出単語を事前に仕込んでおいて、前回の授業で習った単語の確認でクイズを活用してみたり、語彙を増やすためにクイズをしたりといった使い方ができます。ヒアリングの教材として使うこともできると考えています。隙間時間や授業の最初のウォーミングアップなどで使っていただく想定です。現在はWord Hint Quizしかないのですが、春までにはTyhoon GameやThe Category Gameなどを増やしていく予定です。
先生はダッシュボードで、使用時間、よく使った単語、選んだ文法などを把握できます。「最近の授業ではこういったことを学んだのか」と授業内容を客観的に振り返ったり、他の先生と共有したりできるので、授業の新たな気づきを得るために活用していただきたいと考えています。
▲ スライド9・先生が使用状況を
確認できるダッシュボード画面
主な機能について説明しました。2026年4月から発売予定です。お試しで事前に使ってくださった先生方からは改善の要望などフィードバックをいただいていますので、本格リリースに向けて最終的な調整をしています。
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