概要
超教育協会は2025年6月4日、株式会社ストロングジャパンホールディングス 代表取締役CEOの寺本 雄平氏を招いて、「セブ島留学[CBEA]Cebu Buisiness English Academy~日本人が海外に出る際のハードルを最大限0に近付ける仕事と英語を学ぶ【セブ島0円留学】の実態とは」と題したオンラインシンポジウムを開催した。
シンポジウムの前半では、寺本氏が「セブ島0円留学」の制度や特徴について講演し、後半では超教育協会理事長の石戸 奈々子をファシリテーターに、視聴者からの質問を織り交ぜながら質疑応答が実施された。その前半の模様を紹介する。
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「セブ島留学[CBEA]Cebu Buisiness English Academy~日本人が海外に出る際のハードルを最大限0に近付ける仕事と英語を学ぶ【セブ島0円留学】の実態とは」
■日時:2025年6月4日(水) 12時~12時55分
■講演:寺本 雄平氏
株式会社ストロングジャパンホールディングス 代表取締役CEO
■ファシリテーター:石戸 奈々子
超教育協会理事長
寺本氏は約30分の講演において、留学費用がかからない「セブ島0円留学」の取り組みについて話した。主な講演内容は以下のとおり。
1日の半分を働いた給与で留学費用を賄うのが0円留学
株式会社ストロングジャパンホールディングスは、「教育で世界をつなぐ」と「強い日本を取り戻す」の2本立ての企業理念で、事業展開を進めています。理念とは別に企業ミッションを2つ掲げています。ひとつは、セブ島最大の総合商社を目指すというものです。つまり、セブ島の中で我々の経済圏を作り上げてしまおうと考えています。そして、もうひとつが「日本人が海外に出る際のハードルを最大限ゼロに近づける」とういものです。
「日本人が海外に出る際のハードルを最大限ゼロに近づける」というミッションを具体的に実現するために取り組んでいるのが「セブ島0円留学」です。我々は、Cebu Buisiness English Academy という日本人の方々が英語を学ぶ場をフィリピン政府の移民局から認可を受けた正式な学校法人として経営しています。その学校法人の取り組みのひとつが「セブ島0円留学」です。これは、「給与が発生しない無給の海外インターンシップ制度」といえます。
留学生たちは留学している期間中、1日の半分を働くことで留学費用を半年から最大2年間、無料にすることができます。これが「セブ島0円留学」のプログラムです。仕事と英語を学び、かつ留学費用が0円になるというのがコンセプトです。働いて得た賃金を留学費用の大部分を占める授業料や滞在費用に充当することで、半年から最大2年間無料にする仕組みです。
フィリピンは東南アジアでかつ英語が話せる国です。そして、欧米に比べてコストを抑えた留学ができるのが魅力です。しかし、ウクライナ情勢や大幅な円安によって留学費用が高騰し、欧米に比べると安価とされているセブ島留学においても、半年間の留学で120万円ほどのコストがかります。1年間留学しようとすると、240万円ほど必要になります。これが欧米圏への留学では、倍くらいのコストがかかるのが現状です。
留学を諦める方々の約7割が費用を理由に諦めているという統計が出ていますが、我々はコストを理由に海外に出ることを諦めてほしくないと考えています。私もこの事業を始める前に単身でセブ島に渡ったとき、英語も話せない、社会人にもかかわらず貯金も全然ない状態で、留学という選択肢は頭に浮かびませんでした。今の日本の学生の中にも、20代や30代の社会人経験者の中にも同じような境遇にある人たちがいると思います。我々はその費用面の問題を解消することで、今まで留学を諦めた100人中70人の人たちを海外に渡航させることができると確信しています。
「セブ島0円留学」では参加資格において、あまり難しい規定は設けていません。健康な人でしっかりやる気があって、一般常識がある人であれば、基本的に受け入れているという現状です。
現状、1カ月あたり50~60名から「0円留学に参加をしたい」という問い合わせをいただいていますが、我々の学校と働く場である会社の受け入れ体制もあって、実際はその1割くらい、大体単月5~6名しか受け入れられていないのが実情です。
我々としては、望む人全てがふるいに掛けられることなく0円留学にチャレンジできるような環境を整えたいと強く感じていますが、留学生の働いてもらう仕事の提供量を考慮すると全員は難しいのが現状です。なお、留学までの流れは、まず書類選考から始まりオンライン面談を経て、実際に渡航というプロセスです。
全ての英語のレッスンがマンツーマンで受けられる「セブ島0円留学」の魅力
セブ島があるフィリピンは、少し前までは日本から一番近い英語の公用語国でした。今は台湾が公用語のひとつに英語を設定しましたので、日本から2番目に近い英語の公用語国になりました。ただし、実際に英語がしっかりと話されている、話せる国としては、引き続きフィリピンが一番近いと言えるでしょう。日本から片道5時間で行けるほか、時差も1時間です。平日渡航で平日帰国というスケジュールで、成田発着であれば渡航費が往復4万円以下というコスト感で行けるのがセブ島です。
「セブ島0円留学」の大きな特徴は、全ての英語のレッスンがマンツーマンレッスンで提供されることです。
ここが欧米圏の留学とは大きく異なる点です。欧米圏は先生のコストも非常に高額で、先生一人に対して生徒が多数となるのが基本的なスタイルです。一方、セブ島の場合は、生徒一人に対し先生が一人で8時間のレッスンを受けると、夕方にはぐったりしてしまうくらいインプットとアウトプットをしっかり学べます。
また、我々はCebu Buisiness English Academyに併設で日本語のコールセンターとBPOセンターを運営しています。「セブ島0円留学」の人たちには、このコールセンターやBPOセンターで、1日の半分を日本語での仕事に従事していただきます。仕事内容は多岐に渡り、日本語で対応できる業務を日本企業から受託しています。
コールセンターなのでテレアポの業務も受電の業務もあります。日本企業の海外向けSNSアカウントの運用代行や通訳業務などもあります。また、若者のアイデアが欲しい、社内起業アイデアを出して欲しいといった業務を受託して、実際に大手企業に若者によるアイデアの提出もしています。このように多岐に渡る仕事を受託して運営しているのが0円留学です。
ただし、現状では先ほど申し上げた通り、受託できる仕事量に限りがあり、その制約のために留学生の受け入れも希望者の1割程度にとどまっています。会社として、請け負う業務の開拓が追いついていません。
「セブ島0円留学」に参加される人たちは、英語が話せない状態でセブ島に渡るケースがほとんどです。それでも、早い人だと2~3カ月も留学プログラムに参加すれば英語がけっこう話せるようになってきます。そうなると次に考えるのが英語を使った仕事に挑戦してみたい、従事してみたいということです。我々は0円留学生に提供するために日本企業から仕事を受託していますが、そこと並行して、英語を使った業務が提供できるような環境も会社として少しずつ整えています。
留学生に仕事を提供するため自社でさまざまな事業を展開
我々はさまざまな事業を行っていますが、会社の柱としてあるのは教育事業、その中でも最も力を入れているのが「セブ島0円留学」事業です。0円留学生のためにさまざまな仕事を生み出していくため、現状国内では5拠点、セブ島では4拠点を展開しています。来月の末頃に、2つ目の学校を立ち上げるため工事を行っているところです。Cebu Buisiness English Academyのキャンパスは現状ひとつですが、セブ島にもうひとつ新たな学校が完成するのが来月(2025年7月)ということです。
我々は日本の企業からさまざまな仕事をいただいていますが、自分たちでも事業を生み出しています。事業を生み出せばそれだけ人手が必要となり、その分、0円留学生を受け入れられます。特にセブ島で展開しているのは、留学エージェント、BPO・コールセンター、海外不動産、ブロイラー事業など多岐に渡ります。
▲ スライド5・ストロングジャパン
ホールディングスが展開している
さまざまな事業
2020年3月からコロナが世界的に蔓延し、フィリピンは世界で一番長くロックダウンしていた地域で、その間は何度も学校を潰してしまおうか、廃業してしまおうかと考えました。それでも、一度も学校を閉鎖することなく今まで生き残って、事業展開を行えているような現状です。
そんな中で。「セブ島0円留学」の留学生にさまざまな英語でできる仕事を提供するために、海外の不動産事業を行っています。賃貸の仲介や売買の仲介のほか、不動産管理にも注力しています。人材事業も行っていて、日本人が海外で働くためだけの転職エージェントを運営したり、託児所や保育所もセブ島で運営しています。その他飲食店も去年スタートしています。まずは0円留学生にマンツーマンレッスンで英語を学んでいただき、日本語での仕事をやっていただき、そのセカンドステップとして英語で実際に仕事をしていただくというところに繋げられるようにと考えて、セブ島を中心にさまざまな事業展開をしています。それが、セブ島の日系最大総合商社を目指す、かつ我々の会社の経済圏を作るという企業ミッションに繋がっています。
セブ島で完成させた0円留学のプログラムを世界中に広げていきたい
また、私たちは宮崎県都城市で年間50万羽ほど鶏を食肉として育成、出荷している農園も経営しています。農業で地域創生を図る仕事ですが、教育事業者として留学事業も絡めて新たなプロジェクトとして動き出しています。社名はストロングジャパンで、強い日本を取り戻すという企業理念も掲げています。私としては人口が増えれば日本は強くなるとシンプルに考えています。会社体として日本の「人口」を増やすのは難しいだろうという感覚を持っていますが、「労働人口」を増やすことはできるだろうということは強く感じています。
昨今、不登校や引きこもりの方々、軽度の発達障害と認定される方々が増えているような状況が続いています。その方々が労働人口になることによって、日本はまだまだ盛り上がることができるだろうと私は強く感じています。そのため、都城市の農園においては、そういった不登校や引きこもりの方々、軽度の発達障害はあるけれど仕事をしたいという意向がある方々を受け入れて、農業に従事していただいています。
鶏を育てるという、命に触れ合う仕事に従事していただきながら、そういった人たちからすると宇宙人にも見えてしまうような外国人の先生、つまり我々がセブ島で運営している学校の先生たちからオンライン英会話レッスンを受けられるようにしています。農業に従事しながら海外という広い世界に少しずつ興味関心を持ってもらいたいと考えています。
さらに、広い世界を実際に見てみたい、海外に出てみたいという方々については、その次のステップとして「セブ島0円留学」の留学生となってセブ島に渡っていただきます。実際、日本では生きにくい、生活がしにくいと感じていた人たちの中には、南国で明るく、ラテン系でポジティブな雰囲気のあるセブ島に渡ってしまうと、この人は本当に引きこもりだったのかなと思うほどエンジョイしている人もいらっしゃいます。日本にいたらずっと引きこもりになっていた可能性がある人でも、段階を踏んで海外に出ていただくことによって、新たな一歩を進められるプロジェクトとなっているのです。
もちろん、「セブ島0円留学」をそういった人たちのゴールにはして欲しくないということは、常々会社として考えています。0円留学生として海外で仕事と英語を学び、かつ英語で仕事ができるようになって、次は他の国に羽ばたいて挑戦をしていくのか、日本に戻って海外を経験したグローバル人材として活躍するのか、そんな動線を視野に入れつつ養鶏場、農園を経営しています。
会社としては0円留学ができる学校を世界中で作り上げようと本気で考え、さまざまな事業展開を進めています。具体的には、早ければ来年にはヨーロッパのマルタ共和国、小さな島国ですが、そこで新たな学校を作り上げて、そこにコールセンター、BPOセンターを併設させて0円留学ができる環境を作り上げます。かつ地場に根付いたさまざまなビジネスを立ち上げて、セブ島で完成させたビジネスモデルを展開します。そのために準備を進めているところです。
もちろん、世界中で0円留学ができる学校の展開を目指していますので、マルタ共和国で留まるつもりは一切なく、その後はセルビア、ジョージア、インドとできれば2年に1回のペースで事業展開を進めていけたらと思っています。その全ての肝になるのは、どれだけ0円留学生に仕事の提供ができるかです。仕事をいただくのか自社で生み出すのか、ここをクリアできれば、0円留学ができる学校を世界展開できると確信しています。
>> 後半へ続く