教育情報化推進法成立記念シンポジウム第一部 レポート

活動報告|レポート

2019.10.7 Mon
教育情報化推進法成立記念シンポジウム第一部 レポート

概要

2019年6月に「学校教育の情報化の推進に関する法律」が公布・施行されたことを記念し、シンポジウムを開催いたしました。
この法案は、与野党の超党派国会議員による「教育におけるICT利活用促進をめざす議員連盟」が策定したもので、超教育協会の関係者も作業に加わり作成しました。
議連のメンバー、文部科学省、総務省、経済産業省を交えて議論した第一部のレポートです。
>> 第二部レポートはこちら
 
日時:10月3日(木)
   一部:16:00~17:30
   二部:17:30~19:00

参加メンバー

(※敬称略)
遠藤利明衆議院議員
中川正春衆議院議員
盛山正仁衆議院議員
石橋通宏参議院議員 
髙谷浩樹  文部科学省 初等中等教育局 情報教育・外国語教育課長
浅野大介  経済産業省商務・サービスグループサービス政策課長(兼)教育産業室長
吉田正彦  総務省 情報流通行政局 情報流通振興課長
中村伊知哉 慶応義塾大学教授
石戸奈々子 超教育協会 理事長

第一部


 冒頭「教育における情報通信(ICT)の利活用促進を目指す議員連盟」会長の遠藤議員から法律ができた事で、これからの教育は知識を詰め込むだけでなく、次の時代を作る子供の一人一人の能力を高めていく事が大切。そのためにICT教育を、英語教育、理科教育、とあわせ3本の柱の一つとして重要と考えている。皆さんの力をあわせて進めていきたいとの挨拶があった。
 

 引き続き中川議員からは国が国家戦略としてICT教育を進める。国が基本計画を作成し、審議会を作り基本計画に皆さんの課題を入れ込んでいく。課題は2つ。教科書は無償だが、紙の教科書とデジタルの教科書を並立で使っていいが、ここをどういうように勘案していくか議論が必要。次にハードで市町村格差があるが、予算の組み立て、地方交付税で行っているが自治体の判断になるので差がでる。ここを工夫する余地があり、はっきりしていく事が必要とのお話があった。
 

 石橋議員からは、法制化による効果として
1.自治体間・学校格差の解消
2.財政処置と予算執行の促進
3.導入コスト低廉化・選択肢の増加
4.真の「デジタル 教科書」の正規化
5.教員の養成と負担軽減
以上の5つをあげ、この法律の柱はデジタル教科書である。現在は紙の教科書をデジタル教科書にしているが、将来はデジタル教科書そのものが検定教科書として使えるように目指していく。ここがスタートで頑張っていきたいので、ご協力をお願いしたいとの話があった。
 

 盛山議員からは、今回成立した「学校教育の情報化の推進に関する法律」について
1.目的、2.定義、3.基本理念、4.国の責務等、5.法制上の処置等、6.推進計画、7.基本的施策、8.学校教育情報化推進会議を説明。
いかにICTを使い推進していくかが課題としての指摘があった。
 

 文部科学省の高谷課長は、学校のICT環境整備の遅れている現状および都道府県別に差がある状況、更に国際的にみても日本がICTを活用していない状況を説明。 
 今年6月にまとめた「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策にて、多様な子供達を「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された
 学び」の実現を目標に先端技術・教育ビックデータの効果的な活用に向け学校ICT環境の整備に取り組む旨を説明、令和2年度概算要求で「GIGAスクールネットワーク構造の実現」と「新時代の学びにおける先端技術導入実証研究事業」への要求をしている旨が説明された。
 文部省として線を引いているだけでなく、選択肢を示すので、使ってほしい、クラウドを活用し、安価な端末によって、学校のICT環境整備を進めていきたいのでご助言をお願いしたいとの話があった。
 

 総務省の吉田課長からは、総務省の取組として、ハード面でスマートスクール・プラットフォーム事業にて校務系システムと授業・学習系システムの異なるシステムであってもデータ連携を可能とする通信技術の標準仕様を作成する取組を説明。ソフト面では地域ICTクラブとして、地域で子供、社会人、高齢者等がモノづくり、ロボット操作などを学び合う中でプログラミング等ICT活用スキルうに関し、世代を超えて知識・経験を共有する仕組みを整備する取組につき、実証実験の状況も含めて説明。令和2年度の予算要求に入れている旨の説明があった。
 

経済産業省の浅野課長は、経済産業省としての「未来の教室」に向けての取組について説明。未来の教室に必要な要素として文科省が担当する学校教育を経済産業省が担当する学習塾などの民間教育があり、イノベーションを介して学校教育×民間教育×産業界×大学の動きを大きくしていけるか、また未来の社会をどう作っていくかという観点から産業界などが学習テーマ、人材、資金を拠出し、挑戦している世界の姿を学校の現場で小学生、中学生などが見ることができるように支援していきたい。
未来の教室プラットフォームは2018年7月スタートし、学びの自立化・個別最適化、学びのSTEAM化、新しい学習基盤づくりに取り組んでおり、特に学びのSTEM化、知ると創るが循環する学び、価値創造のための学び、について実証事業例を説明し、普及に向け「未来の教室」キャラバンを行なっている旨説明。
 

 超教育協会の石戸から主催団体して、経緯と思いを説明。2002年にCANVASを作った頃から新しいテクノロジーの教育の活用への取組と法案成立までの経緯を説明後討議に移った。
 日本の教育情報化の現状については遅れているとの認識の基、その理由として予算化に向けエビデンス・成果を出したが財務省を説得出来なかった点やICT,PCが文房具として認識されていない点が指摘され、今回の法案成立で国民の合意として投資をする意識を持つ事が重要との議論が行われた。
 
 またAI時代の教育のおいても世界最先端の教育環境に変化出来るかとの議論では文部科学省の高谷課長は日本型AI教育を目指したい、日本の教育の良さを生かしながらICTやAIを取り入れていく事が必要。日本の特色や強みに第4次産業革命の技術を組み合わせていく事で日本の教育が輸出産業に発展する可能性があると指摘した。
 
 最後に石戸理事長から本日のまとめは覚悟と決意との話があり、一部を終了した。

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