オンライン授業2~アメリカ(後半)

コラム・インタビュー|インタビュー

2020.4.17 Fri

概要

 今回のレポートは、アメリカ合衆国ニューヨーク州郊外にあるウエストチェスター郡で現地の公立学校に通っているこうすけさん(中学1年生)としほりさん(小学4年生)のご兄妹です。マンハッタンから約40分のところに位置するこの町に、2年前に越してきました。日本人の駐在員が多く住んでいる治安のよい地域ですが、隣町がニューヨークで最初にコロナクラスターが発生した地となりました。
オンライン授業2~アメリカの後半をお届けします。
 
(インタビュアー:石戸奈々子 超教育協会理事長)
 
関連リンク:
>>オンライン授業2~アメリカ(前半)
>>オンライン授業1~マレーシア

普段のICT活用

 こうすけさんとしほりさんの話では、普段の授業においても小学校では30%、中学校では70%くらい、宿題では小学校0%~40%(学年が上がるとup)、中学校は70%ぐらいICTを活用しているといいます。コーディングの授業、プロジェクト型の授業、エッセイを書くときなどに主に使います。特に中学校からは、各教科の先生か日頃からGoogle Classroomで宿題が提示されます。課題説明にYouTubeが使われていることもそもそも多かったようです。
 
 保護者との連絡も同様です。はじめにこうすけさんが紹介してくれた学校区のホームページに、教職員、保護者、児童生徒に関する全ての情報が掲載されています。保護者は、給食用プリペイドへの課金、転入届・欠席届など各種届出、遅刻早退連絡などもそこから行います。年度始めのクラス発表もネットで通知されます。日頃から、校長、担任、各専門教科、クラス委員等から頻繁にメールが届くので、普段から学校の様子が日本の学校よりもよく分かるといいます。「いまから考えると、連絡帳に記入して子どもが先生に届けたり、紙の手紙を配るシステムは非効率ですよね。」と、日本で都内の公立小学校に通っていた頃のことを振り返りならが、ともこさんは教えてくれました。
【Mamaroneck Schoolsのホームページ】
 https://www.mamkschools.org/

 そして、ともこさんは、遠隔教育がうまくいく秘訣は「先生と家庭が日常的にオンラインでコミュニケーションが取れていること」と指摘します。日頃から学校の様子が共有されていて、学校と家庭の信頼関係が構築されていたからこそ、遠隔教育へ円滑に移行できたのでしょう。
 
 補足ですが、ともこさんがアメリカにきて一番驚いたのが、校長、副校長、教育委員会の各担当者、生徒の保護者、全ての関係者の氏名、メールアドレス、直通電話番号が公開されていることだったそうです。「日本ではプライバシーに厳しいですが、こちらでは個人情報は任意で非公開にすることもできるものの、ほぼ全員公開しています。そして、クラス担任のみならず、あらゆる先生に直接メールを送っていいことになっています。先生は学校の外からもメールできるので、夜でもお返事をいただけます。特にトラブルは起きておらず、とても便利です。」個人情報を公開することが合理的かつ便利であると認識されているというのは、大変興味深い話です。ちなみに、今回のコロナ対応についても、教育長から各家庭に直接メールが送られてきたそうです。
 
 今回、遠隔教育を受ける環境がないご家庭には、休校が通知された2日後からiPadと利用制限がついたwifiが無償貸与されました。ともこさんのご家庭はiPadを2台借りていますが、教育委員会が抱えるITエンジニアによるヘルプデスクがあり、トラブルがあった際は家庭のIT環境も含めサポートをしてくれたのが助かったといいます。
 
 なお、お二人が通っている塾も遠隔教育に早々に切り替わり、習い事も遠隔化の流れがきているようです。

最後に

 最後に日本とアメリカの公立小学校を体験したともこさんとこうすけさんに今後どちらの学校に通いたいかお聞きしたところ、即答で「米国の学校」と答えられました。
 
「こちらでは先生方に余裕があり疲弊していません。」とともこさん。例えば給食の時間は別の担当の人がくるなど、日本と比較して子どもを見る大人の数が多く、先生方の自由時間が多いそうです。その分、子どもたちへの指導が行き届き、保護者とのやりとりへも時間を割いてくれているのではないかといいます。
ウエストチェスター郡はニューヨーク州でも経済的に恵まれた州であり、固定資産税の10%は教育費に充てられています。予算が潤沢にあり、教育に関心が高い地域というのも背景にあるかもしれません。
 
 こうすけさんは「校則がほとんどなく自由だからこちらのほうがいい。それからコンピュータが使える!」と答えます。中1の1学期では毎日のようにプログラミングの授業があったこうすけさんは、コンピュータクラブにも所属しているそうです。勉強面では在宅での学習に不満はないようですが、やはり学校は早く再開してほしいと言います。「早く起きなくてよくなって今の方が楽だけど、友だちに会いたいので、早く学校行きたい」
 
 「日本の学校のIT化が進んでいることを切望します。IT化は子どもの授業の多様性だけでなく、先生方の事務雑務の負担を大いに軽減させることができます。このインタビューが米国の進んだ状況を伝えることで日本がいかに遅れているか危機感をもってもらえたら。」とともこさんからメッセージを頂きました。
 
 日本においても経済対策により、学びを止めないための施策が急ピッチで進められています。早期に環境が整うよう引き続き尽力したいと思います。

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