世界を変える人材を育む独自の教育
第65回オンラインシンポ「前例なき挑戦を続けるインフィニティ国際学院」
レポート・後半

活動報告|レポート

2021.11.19 Fri
世界を変える人材を育む独自の教育<br>第65回オンラインシンポ「前例なき挑戦を続けるインフィニティ国際学院」<br>レポート・後半

概要

超教育協会は、20211013日、インフィニティ国際学院の学院長を務める大谷 真樹氏を招いて、「前例なき挑戦を続けるインフィニティ国際学院」と題したオンラインシンポジウムを開催した。

 

シンポジウムの前半では、大谷氏は同学院が生まれた背景や仕組み、カリキュラムなどについて説明。後半では超教育協会理事長の石戸 奈々子をファシリテーターに参加者を交えての質疑応答を実施した。その後半の模様を紹介する。

 

>> 前半のレポートはこちら

 

「前例なき挑戦を続けるインフィニティ国際学院」

日時:20211013(水)12時~1255

講演:大谷 真樹氏
インフィニティ国際学院学院長

■ファシリテーター:石戸 奈々子
超教育協会理事長

 

▲ 写真・ファシリテーターを務めた
超教育協会理事長の石戸 奈々子

 

シンポジウムの後半では、大谷氏への質疑応答が行われた。参加者から寄せられた質問をファシリテーターの石戸 奈々子氏紹介し、大谷氏が答えるかたちで実施された。

インフィニティ国際学院の学びを広めるには保護者や教師の理解が必要

石戸:「今、高等部には何名在籍していますか」

 

大谷氏:「高等部は在籍8名です。2年目は新型コロナウイルス感染症の直撃を受けて、合格者のキャンセルや退学が続出しました。今、3期生も3名と小ぶりになりました。異年齢混合の教育をやっています。来年コロナが収まれば、回復していくでしょう。もともと定員は10名の小規模で運営しています」

 

石戸:「中等部のオープンに際し、キンダーキッズと連携するということで、人数的には一気に増える可能性も高いと思いましたが、今後どういう規模の拡大路線を描いていますか」

 

大谷氏:「キンダーキッズには今3,700名在籍しています。もちろんすべてが我々のところにくるわけではありません。初等部が定員30名。中等部の定員が15名。高等部が10名から増やしても15名と考えています」

 

石戸:「参加者からの質問です。発達障害や不登校児は何パーセントくらい在籍していますか」

 

大谷氏:「積極的不登校の子が多いです。教室が窮屈で、自分の個性が伸ばせないと本人や保護者が感じている場合、病んで不登校の子はいません。個性が強い子が多いです。我々は面接を重視していて、親とも入試前にオンラインで個別面接をしています。我々の学校は誰にでも合うものではないので、お互いのミスマッチを防ぐため、価値観のすり合わせや、将来のイメージをすり合わせてから入試に挑んでもらうようにしています」

 

石戸:「次の質問です。生徒の卒業後の進路について教えて下さい」

 

大谷氏:「世界という興味できている子が多いので、海外進路を目指す子が多いです」

 

石戸:「広域通信制だとGPAが高くなるから有利だという話がある一方で、日本の高等教育の区分による海外に進学するときの見え方でデメリットはありますか」

 

大谷氏:「全く感じないです。むしろユニークな学びをしていると歓迎されるのではないでしょうか。海外の学校は卒業が難しいので、入ってから苦労するかもしれません。基礎学力があった上でうちみたいな学びをすると最強なので、初等部中等部で基礎学力をきっちり積み重ねた上で高等部に進むのが理想になります。インターナショナルスクールに行かせる親も理解はしますが、やはり日本の基礎学力をしっかりつけた上でプラスのグローバル教育をするのが理想だと思います」

 

石戸:「その意味では、今回連携した学校はインターナショナルスクールでありながらも、日本人のアイデンティティを大事にしながら外国語教育をしている学校ですね」

 

大谷「それが最大のポイントです。キンダーキッズも日本人の教育とアイデンティティを大事にしているので、そこで価値観は合致しました」

 

石戸:「海外の全寮制の高校生だと、寮生活におけるトラブルの対処に皆さん苦心されているというのはよく聞く話です。思春期の子どもたちが集められたメンバーで24時間過ごすことにおいての苦労、何か対策していることがあれば教えてください」

 

大谷氏:「もちろん色々あります。寮生活が始まってすぐ喧嘩したり。しかしこれは逆に学びで、それを乗り越えて社会性を身に着けてもらいたいと思っています。実際、一期生もフィリピンで寮生活して喧嘩もしましたが、そこを乗り越えて家族以上に仲良くなって、幅広い多様な価値観を身に着けました。これこそレジデンシャル教育のメリットだと思います。もちろんチューターは同じ寮にいるので、24時間サポートできるし、常にメンタリングをコーチしているなど、不満などを聞き出す体制をとっています。ルールで縛ると問題が発生する。その為、ルールは生徒に決めさせています。学則はありません。その場その場で、フィリピンにいる時のルール、研修先の和歌山にいる時のルールと、ルールを生徒に考えさせています。ルールではなくてアグリーですね。ここは認め合おうと議論する時間を作っています」

 

石戸:「全寮制はハードルが高いと思います。1カ月や2カ月と区切って寮生活を繰り返すという選択肢もあったと思いますが、1年間継続して住みこんでもらうことにした背景には何かあるのでしょうか」

 

大谷氏:「高等部はプログラムの間に家に帰ったりするので、4週間寮生活して家に戻ってリフレッシュするということができます。中等部は春休み、夏休み、冬休みは家に帰ります。異国の中に放りこまれるよりはよいし、周りが見守れる環境で全寮制というのが、バランスがよいのではないかと思っています」

 

石戸:「視聴者からの質問です。教員は何人いて、彼らのバックグラウンドはどのようなものでしょうか。また、彼らに対してどのような研修を行っていますか」

 

大谷氏:「高等部は生徒8人に対してチューターが4人。4人が常に寄り添う形をとっています。実際のカリキュラムでは、英語ならフィリピンの先生とコラボするし、ナビゲーターという専門分野の人が20人以上いて、その人たちが提供するプログラムもあります。岡山県では外部パートナーと一緒にビジネス体験をするプログラムをやっています。このように、常にプログラムパートナーがいます。それ以外には事務系のスタッフやオンラインの校医、メンタルケアをしてくれる専門の人を配備しています」

 

石戸:「年間の授業料などコストを教えてくださいという質問がきています。確かにこれだけ手厚いと気になります」

 

大谷氏:「高等部だと年間授業料が95万円。研修費が年間で250万円かかります。旅費は別ですが、行った先のプログラム費や滞在費は全部含まれています。入学費は30万円。強調したいのは、受験のための塾に行く必要がないので、そこは費用としてかからないということ。また、例えば私学で授業料が150万円で自宅から通う場合と比較すると、インフィニティでは350万円くらいで住居もついて食事もついているので、それほどギャップはないのではないでしょうか」

 

石戸:「今高等部が8人で中等部が20人ということですが、広げていく構想はありますか」

 

大谷氏:「単位としては15や20人がマックスだと思っています」

 

石戸:「人数が増えると、理想としていた学びから遠ざかっていくかもしれないですね。少人数だからこそ提供できているきめ細かな体験ということですね」

 

大谷氏:「そこがジレンマで、自分が救えているのは15や20人。しかし全国には救いたい子がたくさんいます。そこで『あしたの寺子屋プロジェクト』というボランティア活動を行っています。全国の教育格差をなくすために、人口3万人以下の1000箇所に学び場を作るというものです。会議室を借りたり自宅を開放したりして、オンラインで学んでいます。過疎地でも世界につながる、日本中の子たちがつながるようなネットワークを推進しています。インフィニティ国際学院で救えている子だけでなくて、全国の子を救いたい、世界を広げてあげたいという思いです。自分の中ではインフィニティ国際学院を拡大するなどビジネスを広げる路線ではなくて、しっかりモデルを作って、同じような学校が皆さんの手でどんどん日本中で生まれていくとよいと思っています」

 

石戸:「次の質問です。来年開校予定の初等部中等部は具体的にどのような授業を予定していますか。一般的な公立学校との差分のところを教えていただければと思います」

 

大谷氏:「初等部では中国語が加わります。また5教科に偏らず、ほかのプログラムもやります。お金の学びなどもやる予定です。中等部は、午前中は個別学習で5教科、午後はチームワークなどPBL的な学びが多くなります。今月の30日に具体的な時間割まで公開します」

 

石戸:「中等部高等部においては、希望者には理工系の実験設備でのまとまった学習機会はありますか、という質問もきています。自分たちで施設を持たないがゆえに、大学の施設などより充実した施設を借りて使う方法もありますよね。そのあたりでお考えがあれば教えてください」

 

大谷氏:「タウンキャンパスにはそういう利点があり、例えば上川町キャンパスでは、上川町の全面協力があって、廃校を使わせてもらいます。すでにチームラボが廃校をリノベーションして、STEAM教育をやっています。そういうところを我々も活用させてもらったり、体育館や図書館を使わせてもらうなど、お金のない学校法人よりは自由度が高く展開できます。その意味では設備を持たない方がよいと思います」

 

石戸:「今までに全くない学校の仕組みで、なおかつ全寮制ということでいうと、不安に感じたり、魅力的だなと思いながらも最後の一歩を踏み出せない保護者の方も多いと思います。子どもはここに行きたいと言っても、保護者側が踏み出せないケースもあるのではないかと思いますが、保護者の反応に関してはいかがでしょうか」

 

大谷氏:「親は自分の経験から同じことを子どもに要求してしまうケースが多くて、そこのときほぐしから始める必要があります。同調圧力というか、周りの子は塾に行っているからうちの子も行かせないといけないみたいな考えの親もいて、そこの啓蒙も必要です。今年の11月から大人のためのサマースクールをやるのですが、そこでは保護者に学びを得てもらいながら、子どもの教育も考えていく場を定期的にやろうと考えています」

 

石戸:「子ども以上に保護者の理解をしっかり得ていくことが、新しいチャレンジの場合は重要ですね」

 

大谷氏:「あとは学校の先生の理解も必要です。特に進路指導の先生『インフィニティ国際学院? そんな学校ありませんよ』と言われてしまう」

 

石戸:「中等部は地元の公立に通いながら取り組むということで、学校側がそれをどう捉えるかが重要ですね。好意的に送り出してくれないと、子どもたちもストレスになります。次は、今目指している教育に似たようなモデルが海外にあるのですか、それともオリジナルですかという質問がきています。この学校を参考にしているなど、ロールモデルにしているなどあれば教えてください」

 

大谷氏:「ミネルバ大学の山本さんの本を読んだのが20187月、同時期に同じことを考えていました。ミネルバ大学はそれまで知らなくて、本を読んでなんだこれはと思いました。2018年から2019年がターニングポイントだったと思います。みんなが広域通信制高校の利点に気づいた時期です。たまたまみんなが同じことを同じ時期に考えたということでしょう」

 

石戸:「ご自身で思いついたオリジナルだけれど、同時多発的に近しいコンセプトのものが生まれていたので、そのなかでよいものは取り入れつつ運営しているということですね」

 

大谷氏:「まさに松下村塾に行ったのが20188、そこで決意しました。ターニングポイントでした」

 

石戸:「運営スタッフは何人いて、どのような業務に関わっていますかという質問もきています」

 

大谷氏:「学院長と事務局長と総務、経理で4人。あとは外部のスタッフです」

 

石戸:「インフィニティ国際学院の立ち上げは、コストもかかり相当なリスクでしたよね」

 

大谷氏:「インフィニティは学校法人の子会社でスタートしました。そこの手厚い資本でスタートして、8月により自由度を求めて独立しました。立ち上がりのコストは、学校法人の子会社のなかの資本でスタートできました。これから独り立ちして色々大変でしょうが、うまい具合にスタートを切れたと思っています。リスクを考えたら何もできません。

 

課題は、まだまだあります。例えば、知名度がないこと。日本の教育界や現場の先生はほぼ鎖国状態で、インフィニティ国際学院の存在すら知らない先生がたくさんいます。そのなかでどうやって知名度を上げていくかを模索していきます。次のビジョンは、幼小中高ときたので、次は社会人向けのアカデミアを立ち上げたい。対象をもう少し特定して、教員のための学び舎とか公務員のための学び舎など、セグメントを絞ったなかで、我々が風穴をあける学びを提供できればと思っています」

 

最後は石戸の「新しいチャレンジに困難や失敗はつきものだと思いますが、このコンセプトの普及とさらなる新しいチャレンジに期待します」という言葉で、シンポジウムは幕を閉じた。

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