世界を変える人材を育む独自の教育
第65回オンラインシンポ「前例なき挑戦を続けるインフィニティ国際学院」
レポート・前半

活動報告|レポート

2021.11.19 Fri
世界を変える人材を育む独自の教育<br>第65回オンラインシンポ「前例なき挑戦を続けるインフィニティ国際学院」<br>レポート・前半

概要

超教育協会は、20211013日、インフィニティ国際学院の学院長を務める大谷 真樹氏を招いて、「前例なき挑戦を続けるインフィニティ国際学院」と題したオンラインシンポジウムを開催した。

 

シンポジウムの前半では、大谷氏は同学院が生まれた背景や仕組み、カリキュラムなどについて説明。後半では超教育協会理事長の石戸 奈々子をファシリテーターに参加者を交えての質疑応答を実施した。その前半の模様を紹介する。

 

>> 後半のレポートはこちら

 

「前例なき挑戦を続けるインフィニティ国際学院」

日時:20211013(水)12時~1255

講演:大谷 真樹氏
インフィニティ国際学院学院長

■ファシリテーター:石戸 奈々子
超教育協会理事長

 

大谷氏は約30分の講演において、2019年に開校したインフィニティ国際学院の仕組みや、世界を変える人材を育成するためにどのような学びに取り組んでいるかについて説明した。主な講演内容は以下のとおり。

 

 

【大谷氏】

インフィニティ国際学院は、20194月に高等部が開校しました。キャンパスはありません。2022年4月に初等部と中等部を開校します。初等部は、キンダーキッズインターナショナルと提携して大阪市天王寺区に開校します。中等部は全寮制、デュアルキャンパスの学校です。北海道最大の国立公園、大雪山国立公園の中と奄美大島に開校し、理想的な環境で学びを展開する予定になっています。

 

▲ スライド1・インフィニティ国際学院の歩み

背景に日本の教育への危機感

そもそも、なぜこのような変わった学校が生まれたのか。背景には、多くの学校法人が「まるで化石」のような印象を持ち続けてきたことがあります。紙の書類の多さ、プロジェクトの進行も「来年に調査して、再来年に実証事業をして、3年後に導入」といったスピード感で愕然としました。

 

このままでは若者たちが自分のキャリアを自由に描けないという思いを抱き、「就職をゴール」とし「失敗を恐れるマインド」を大量生産していることに危機感を感じました。世界から見ると、日本の教育の実態は150間時計が止まっているような状態です。教室に集めて同じ教材を使って、同じスピードで学ばせてテストで評価して管理する。この仕組みが正確には148もの間、変わっていない。そのことに危機感を覚えました。今の公教育は、変わりはするでしょうが、そのスピードは遅い。何とか公教育の外側で新しい学び方を提唱できないかと思って始めたのが、このインフィニティ国際学院です。日本の未来に対する危機感から、ひとつの選択肢、モデルとしてインフィニティ国際学院をスタートさせました。まだまだ小さい存在ではありますが、同じようなスタイルの学校がどんどん増えて、公教育と共存しながら子どもたちの選択肢が広がっていくことを願っています。

インフィニティ国際学院のミッションは10年後の世界を変える人材を育む

インフィニティ国際学院は、日本を変える、世界を変える、つまり変える側の人材を育むことをミッションとしています。今までの「従う人材」を大量に作り出してきた日本型教育ではなくて、変化を起こす側、変化の主役になっていくような人材を育みたいと思って、学校のカリキュラムを設計しています。世界を常に見ながら、自分は何ができるか、ソーシャルイノベーションを起こせるを考えられる子を育てたいと思っています。

 

▲ スライド2・世界を変える人材を育むのが主なミッション

 

現在は、新型コロナウイルス感染症の拡大を予測できなかったのと同様、これからの未来を予測するのは困難な「超VUCA時代」です。来年のことも分からない。そのなかで、今までのテンプレート、答え合わせの学びや答え合わせの人生ではなくて、常に環境に適応できる人材を育む、これが我々の主なコンセプトになります。変化できる人間。そして教育を提供する側も常に環境に応じて変化できる、変化が可能な学校であるべきと思っています。

 

▲ スライド3・予測困難な時代に必要なのは
変化できる人間

 

インフィニティ国際学院のスタートにとって新型コロナウイルス感染症の拡大は大きなダメージでした。インフィニティ国際学院は、旅する学校ということで、1年目はフィリピンで過ごし、2年目は22カ国、主にアジアやアフリカ、ヨーロッパの国々で4週間ずつ滞在するような学校でした。それを期待して入ってきた生徒もたくさんいたのですが、それが海外に行けなくなってしまったのです。

 

これ以上の逆風はない状況でしたが、即座にオンラインに切り替えて準備期間を作りながら、2学期からは国内研修に切り替えました。西表島など電気のない無人島までフィールドを設定して、海外の方々とも一緒にフィールドワークをやっています。このように、現在は教育提供する側も瞬間的に即座に意思決定して、状況に応じて変化していかねばならない時代だと感じています。そういったサービス提供する学校が今後、強く求められていると考えます。そういう学校の教育現場の中で育まれた子どもたちが、10年後、20年後の日本、世界を変えていくと固く信じています。

 

高等部が実施した学びを具体的に紹介すると、例えば九州では老人ホームに見学ではなく、4週間寮に住みながらスタッフを体験しました。つらい体験も含めて、リアルに五感で感じる学びができました。生徒たちからも「命のことを深く考えられた」とか、「家に帰って親に優しくできるようになった」といった感想が聞かれ、学びが深かったと思われます。

 

▲ スライド4・実際の学びの様子

 

また英語はオンラインでフィリピンと繋いでマンツーマンで学んでいます。その他にも吉田松陰の松下村塾にも行きました。インフィニティ国際学院の原点は松下村塾です。私が2018年の夏に訪れて、こういう多様な学びの場を作らなければ、そして世界に羽ばたくような人材育成をしなくてはならないというインスピレーションを感じたのがインフィニティ国際学院の原点です。生徒にも実際に萩に行ってもらって、なぜこの学校が生まれたのか、君たちにはどういうことが期待されているのかを語りました。和歌山県では地元の学生と一緒に田植えもやりました。単発の予定調和の体験学習ではなく、大テーマと個別のテーマを組んで、かつ4週間位滞在するような学習を実践しています。

広域通信制高校と提携し 学びはインフィニティ国際学院、単位は通信高校で取得

インフィニティ国際学院 高等部の詳細について説明します。まず、学校教育法第一条項には該当しません。塾やフリースクールに該当します。高校卒業資格に必要な単位は、広域通信制高校と連携して取得できるようにしています。沖縄の八洲学園大学国際高等学校(以下、八洲学園)と連携して、生徒は八洲学園に在籍しながら、主な学校生活や学びの場はインフィニティ国際学院 高等部が提供しているかたちです。八洲学園から見るとインフィニティ国際学院 高等部はサポート校になります。八洲学園に単位取得のためのレポートを提出したり、動画を視聴して感想を提出したりすると同時に、インフィニティ国際学院オリジナルのカリキュラムもこなすことになります。このように広域通信制高校の仕組みを使って、必要とされる単位を取得して卒業資格を取ります。海外留学に必要となるGPA(成績評価)証明書は、八洲学園から発行してもらいます。GPAとエッセイと英語能力で海外の大学は入れてしまうので、その意味では日本型の受験勉強をしなくてよいという利点があります。自分のテーマを見つけてエッセイが書けるような深い体験ができれば、海外留学には有利になると考えられるので、効率がよいともいえるでしょう。通信制高校は最近できた仕組みではなく、70年くらい前にできたので、これをどんどん活用すべきだと思っています。ひとつの教室に縛り付けて学ぶよりは、この仕組みを使いながら、フィールドを変えたり、オンラインの最先端の教材を使うなど、ハイブリッドに組み合わせることができます。最近はこのように、広域通信制と連携して、単位はそちらで担保しながら、独自のカリキュラムを展開する学校が増えています。

 

▲ スライド5・インフィニティ国際学院 高等部の仕組み

 

つぎにインフィニティ国際学院 高等部の3年間の学びを説明します。新型コロナウイルス感染症が拡大する前は、初年度は、フィリピンに関連する英語学校があるので、全寮制で学びながら英語力のレベルアップを図る予定でした。英語を使ったディスカッションやブレスト、英語を使ったプログラミング、地域の学生との国際交流などが主なカリキュラムです。

 

2年目は海外を回る予定でした。もともとはアジアからバスを使って移動したり、ゲストハウスに泊まったり、アフリカの孤児院に滞在してその子たちをどうすれば救えるだろうといったことを学習する予定でした。またネパールではヒマラヤをトレッキングして、自然の偉大さを五感で感じるなど、そういう学びを22カ国で予定していました。その過程で、自分が何を極めたいか、どこの大学でどの先生につきたいか進路を定めていきます。大学ではなく起業したいという生徒もいましたし、笑いで人を幸せにしたいといって、吉本興業へ行った子もいました。この多様性がインフィニティ国際学院の価値です。入学する時点では生徒はまだ視野が狭いです。進路は公務員か地元の国公立大学くらいしか見えていません。そういう生徒に世界を見せ、感じさせてあげて視野を広げることが、インフィニティ国際学院が提供する価値だと思っています。そして3年目。見えてきた自分の行きたいベクトルに対して、教職員が寄り添って指導したり、専門家がサポートします。

 

▲ スライド6・インフィニティ国際学院 高等部の3年間の流れ

インフィニティ国際学院で大切にしている8つのコアスキル

インフィニティ国際学院では、特に大事にしている8つのコアスキルがあります。

 

▲ スライド7・インフィニティ国際学院が
重視している
8つのスキル

 

それらは、今の公教育や従来型の学びで欠けている部分です。まずはビジョンを構築する力。西表島で電気がないなかで、一昼夜一人で過ごして本気で自分と向き合って、自己分析を深めます。2つ目はチームワーク。一人でスキルは伸ばすだけではなく、チームで社会の課題を解決するなど、さまざまな問題に取り組む共創力は、これから必要な能力です。つぎに語学力。これは世界の人々とつながるツールとしての英語です。英語だけではなく日本語の力も重視しているし、中等部は中国語も導入する予定です。4つ目はコミュニケーション力。共感したりディスカッションする能力を重視しています。また最近は、情報収集や客観的判断などの情報判断力も必要とされています。さらに重視しているのは、ゼロから1を生み出す力、チャレンジする力。創造する力。つまり既存のテンプレートに自分の人生を合わせるのではなくて、自分に合った人生を作り出す力です。そういう創造的な思考力が求められています。これは頭のバリアを外してあげるだけでずいぶん伸びると思います。つぎに突破力。これは生徒も教職員も問われている力で、これが文部科学省の言う生きる力だと思います。旅することにトラブルはつきものなので、インフィニティ国際学院のカリキュラムをこなすことでおのずとついてくるでしょう。最後はセルフマネージメント力。自己管理や自立する力です。

 

卒業後の進路については、人気のある国内有名大学、海外のPearson Collge、吉本のNSCなど多様な進路に進んでいます。一般的に私学は医学部ならここが強い、公務員に強いなど特徴がありますが、インフィニティ国際学院はばらばらです。進路サポートは、個別最適の学習を含め、全寮制だからできるさまざまなサポートを提供しています。週に1回コーチングの時間を設けて、日々変化する価値観や進路の方向性に耳を傾けて寄り添う形でサポートします。海外に行くには専門家のサポートが必要ですが、海外の情報をもたらしてくれる海外パートナーもいます。また、今は5割くらいが総合選抜になっているので、インフィニティ国際学院で培った経験を面接や志望動機に落とし込めるような指導を行っています。それらを含めて総合的に個人個人の多様な進路に対応しているということです。

 

▲ スライド8・卒業後の進路イメージ

2022春開校の中等部では基礎学力を重視

来春に開校する中等部には、2つの大きい特徴があります。まずタウンキャンパスです。北海道の上川町全体をタウンキャンパスと称して、廃業するホテルを活用した寮を設置します。そして北海道の大雪山国立公園に、4月から12月くらいまで滞在し、それ以外は奄美大島の町全体がキャンパスになって、町の体育館や図書館を借りるなど、さまざまな形で施設を活用させてもらいながら地元の方と教育交流します。

 

▲ スライド9・中等部は2拠点でタウンキャンパスを展開

 

中等部は基礎学力を重視して、シームレスに高等部へつながっていくようなカリキュラム設定となっています。もちろん英語をフルに活用し、異年齢混合も行って、年長の生徒から教わるような、自然に発生する学び合いを重視しています。あとは間に旅を組み込んで、旅をして行く先々で学ぶ。最大の特徴は、中等部から始まるレジデンシャル教育です。親離れ子離れを経て、しっかり社会性を身に着けながら、チームワークを身に着ける。プラス、STEAM教育を取り入れます。あとはアントレプレナーシップ教育も中等部から始めます。午前中は個別オンライン学習。その子の学習スタイルに応じた教材を選んで、その子のスピードでさまなざま学習を進めます。そこに指導員が寄り添いながらサポートしていくスタイルです。午後はチームで学ぶようなPBL(問題解決型学習)を中心に行っていきます。アフタースクールでは色々な活動を行い、週末はボランティア活動を行うイメージです。

 

▲ スライド10・中等部で行う
カリキュラムのコンセプト

 

中等部の仕組みについて。高等部は広域通信制の仕組みと連携しましたが、中等部は在宅でICT教材を活用した学びを提供しているクラスジャパン小中学園と提携します。オンライン学習システムの仕組みを活用させてもらって、在籍している公立中学校と連携させる。具体的には今日何を学んだか、何時何分にログインして担任とどういうやり取りをしているかなど、オンライン担任の所見を月1回在籍校の校長に出します。これで出席認定や評価を出してもらうという仕組みです。これは、2016年に成立した教育機会確保法に基づきます。同法は主に不登校の子のための施策でしたが、在宅のオンライン学習やフリースクールとの連携での学びを保障するものでもあります。この仕組みを活用して、オンライン学習をしながら在籍校に通うことなく理想の寮生活が可能になります。

 

▲ スライド11・インフィニティ国際学院
中等部の仕組み

 

>> 後半へ続く

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