一般社団法人超教育協会(東京都港区、理事長:石戸奈々子)は 「デジタル庁への提言」をまとめ公表しました。また、この提言は 本日、平井卓也デジタル大臣、石倉洋子デジタル監に手交しました。
「超教育協会からデジタル庁への提言」
2021年9月1日
一般社団法人超教育協会では、本年3月に「教育における情報通信(ICT)の利活用促進をめざす議員連盟 」(会長:遠藤利明議員)へ以下を要望した。
① 教育データは、児童、生徒、学生が自らデータを集約すればするほど価値が高まるものであり、今後の制度設計に資するべく、教育データを個人が管理する手法や利用効果に関する実証事業を国は速やかに行うべきであること
② 個人・学校・企業・団体などの多様な主体が教育データを効果的・効率的に活用できるようにするためには、「データ標準」の枠組みを国の責務として制度化する必要があるとともに、技術的な枠組みを整えることができれば、教育データを活用するビジネス環境の創出にもつながること
これらを踏まえて、教育情報化における環境整備の進展、データ利活用に対するニーズの増大、DX 人材に関する社会的育成の必要などに鑑み、新設されるデジタル庁へ以下を提言する。
1. データ利活用に関する計画とガイドラインの策定
データ利活用及びDX を進めるにあたっては、データ規格、技術標準等を定める必要があり、政府全体として関連する規格の統一が求められる。具体的には、次の点に基づき、データ利活用プランと公教育データDX ガイドラインを策定すべきである。
・学校教育に必要となるデータ(公教育データ)の規格対象範囲
・一次利用、二次利用、個人利用など利用態様の在り方
・公教育データの規格、技術標準の策定
・データ利活用に関する自治体計画の策定促進
2. セキュリティ整備状況の可視化と未整備の自治体、学校への対策
教育情報化に係るネットワーク、端末の整備により、持ち帰り学習やインターネット活用学習が拡大しているが、フィルタリング等のセキュリティ対策に関しては、自治体間で大きな格差が生じている。これに対処するために、ネットワーク整備・端末整備の進展とあわせて、「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」(文部科学省)などを踏まえて、省庁横断的に、教育情報化に係るセキュリティ整備状況の可視化を進めるべきである。あわせて、十分な対策が講じられていない自治体、学校、家庭等に対して、可視化された整備状況に基づき、政府全体として、予算措置等の必要な対策を講じるべきである。
3. デジタル人材育成に向けた教育環境の整備
本年6 月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021 日本の未来を拓く4つの原動力~グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策~」(骨太方針2021)においては、デジタル人材に関する教育コンテンツやカリキュラムの整備、また実践的な学びの場の提供などを行うデジタル人材プラットフォームの構築が明記された。これらを推進するために、①デジタル人材の定義やスキル要件の定義、➁教育コンテンツに係るスキルマップの作成、③サーティフィケーション(認証)に関する仕組みの設計を省庁横断的に実施するべきである。
特に③については、真正性の確保、管理・運用コストの軽減、スキル内容の円滑な共有の観点から、デジタルバッジの活用を基本とするべきであり、政府によるデジタルバッジの認知普及に向けた政策を実行すべきである。また、教育環境の整備に加え、積極的なデジタル教育の受講を促すため、教育訓練給付金等の各種支援を拡大するべきだが、とりわけ利用者の利便性向上の観点から、手続きの簡素化・申請手続きのデジタル化も併せて加速させるべきである。
一昨年から政府では、GIGA スクール構想が推進されているところであるが、児童生徒の学習環境において、地域格差や所得格差による不公平をなくすべく、環境整備に係るモニタリングや関連するハードウェア(ネットワーク、機器等)の整備については、その企画及び立案並びに総合調整に関することをデジタル庁が主体となって担い、デジタル社会形成の礎を早急に築くべきである。