超起業学校では、起業を志す学生・25歳以下に向けて、若手起業家に直接起業相談ができるイベント「オンライン寺子屋」を開催しています。今回は、その第3回イベントの模様をお伝えします!
イベントでは、ゲスト起業家に現在の会社までの道のりや事業内容についてお話をもらいつつ、その後直接個別で相談ができる、起業相談コーナーの二部構成でお送りしています。
第3回のゲスト起業家は…コーチングサービスを展開している株式会社fust 代表取締役兼CEOの長澤瑞木さん
第3回のゲスト起業家は、現役大学院生ながらコーチングの事業を展開している 株式会社fust 代表取締役兼CEOの長澤瑞木さんをお招きしました。
取り組まれている子供向けのコーチングでは、部活、勉強、留学…といった子供がもつそれぞれテーマに対して、目標設定や行動、振り返りのサイクルを、子供と伴走していくサービスとなっています。
子供の内側に答えがある前提で、教えるというより、さまざまな質問を通して子供たちから引き出していくアプローチをとっているそうです。
子どもの「Well-being」を起点に教育を再定義する– コーチングサービスとは?
そうした“コーチング“を軸に、現在は3つの事業・プロジェクトを進められています。
1つ目は上述した小〜高校生を対象として、課題を整理し、目標達成をサポートするオンラインコーチングサービスの「Candle」。
大学・大学院生が子ども達のコーチを担当されており、子ども達の内省を促すことに加え、少し先の未来を生きている大学生コーチからコーチングを受けることで、子ども達の将来の視野や可能性を広げる、といった意味も込められているそうです。
2つ目は教育に特化したコーチングのコミュニティ「ECL (EDU COACHING LAB) 」。2020年の11月にクラウドファンディングによって立ち上げられた有料コミュニティ。イベントを通じてコーチングに触れたり、コミュニティの方同士が繋がったり、専門的なコーチングスキルを学んだりすることができる場を提供されており、(登壇された4月時点で)161名もの方が会員になっているとのことです。
3つ目として現在水面下で進められている「教育版のマインドフルネス」。
イギリスやアメリカではマインドフルネスが子どもに対しても施されており、実際にイギリスで行われているプログラムを、日本版で習慣化できるアプリケーションとして再構築するプロジェクトを進められているそうです。
長澤さんは「世界中すべての子ども達に心の拠り所を届ける」というヴィジョンを掲げられ、「子どもの「Well-being」を起点に教育を再定義する。」というミッションの下、これらの事業・プロジェクトを行われているとお話いただきました。
教員を目指した学部生時代〜起業に至るまでの道のり
ご自身の取り組みについてご紹介いただいた後、起業までの経緯についてお話いただきました。
もともとは教員志望だった長澤さん。大学3年の時に教育実習を行なった際に、日本の教育を続けて行った先の時代とのズレに危機感を持ったそうです。
海外の教育はどうなっているのか、その疑問からクラウドファンディングを募って資金を集め、9カ国もの国々の教育視察を実施されました。
その際に日本がまだまだ遅れていると感じたのが、「Edtech / Coaching / Mindfulness」という3つの分野。
しかし、コーチングやマインドフルネスをすぐに公教育で形にするのは難しい、これを外部のサービスとして子ども達に届けられたら。教育視察で感じたこのような思いが、現在のビジネスの形につながっているそうです。
海外視察に行き、違和感の正体を徐々に明らかになっていきましたが、教育のサービスをする上で、まだまだ教育のことが探求・研究できていない、という思いから大学院への進学を決めたそうです。
その中で、教員養成の機関大学において教員を目指さないカリキュラムである点や、1期生としてご自身の事業なども自由に活動ができる、といったポイントから東京学芸大学院 教育AI研究プログラムという課程に進学されました。
また、MAKERS UNIVERSITYでの経験が、起業の後押しになったと語る長澤さん。
学生起業家が集まり、各分野のメンターがそれぞれついて数ヶ月間を共に活動するプログラムとなっており、5期生として長澤さんも採択・活動されたそうです。
その中で、一人一人の世界観を形にしようとする仲間たちに出会えたこと。お金になりにくい教育という分野において、実際に社会を変革している先輩起業家メンターに出会えたことで、1つの道標を見つけたこと。目標の実現に向けた悩みを共に支えてくれるコミュニティがあり、いつでも帰ってこれるような場所があったこと。そういった部分が起業に一歩踏み出そうと思うきっかけになったそうです。
オンライン寺子屋に参加した方々にとっても、同じ参加者同士や、起業家の方々がそういったコミュニティとなるのでは、とお話いただきました。
起業につながったそれぞれの経験・失敗談
起業にまつわる経験談や失敗談についてもお話ししてもらいました。
以前から個人事業主の形で、オン/オフライン家庭教師をされていた長澤さん。
各家庭と個人で直接契約を取っていたため、担当する生徒の引継ぎの際をどうすればよいのか、責任を感じるように。このような思いが、後任となる大学生の育成の部分から責任をとろう、という現在の事業につながるきっかけになったそうです。
また、クラウドファンディングの経験が、現在の事業に大きくつながっているそうです。海外視察のほかに、事業であるコーチングラボ:ECLの立ち上げ資金集めとして、合計6回のクラウドファンディングの実施、約610万円もの金額を集められました。その活動の中で、一緒に事業を作る仲間や、サービスを提供するクライアントとのつながりといった、人とのつながりを得ることができたことが、クラウドファンディングならではの経験だったとお話してくれました。
そんなクラウドファンディングでの活動の中では、失敗談もあったのだとか。
初めてクラウドファンディングを実施する際に、人脈もあまりなかったため、大学の教授がいる研究室を回ってチラシ配りをされていたそうです。しかし、大学で禁止されていた募金活動とみなされてしまい、あやうく退学を迫られそうになったのだとか。
現在はクラウドファンディングの重要性も高まり認識されつつありますが、退学などの問題は気をつけて!とお話いただきました。笑
またその他に、資金調達でのヒヤリした経験談をお話ししてくれました。
創業したての頃、サービスをリリースする上である程度のお金が必要となり、
資金調達を検討していたそうです。そんな中、株の50%を求める、というような圧倒的に不利な条件を求める方がちらほらいたそう。
元々教員志望ということもあり、起業家の友人が当時あまりいなかったため、周囲に相談できずにあやうく飲み込むところだった。そんな経験から、信頼できる大人に事前に相談することが重要だと話す長澤さん。
資金調達・資本政策は基本的に後戻りができないことなので、非常に気をつけていただきたい、と貴重な経験談をお話してくれました。
またこれまでの起業の経験から、ミッションの実現のために逆算してサービスを展開するべきだったと失敗談としてお話してもらいました。
身近にできることから始めるのも大切だが、自分自身が何のために起業をしてどこを目指しているのか。逆算して最も近づくための選択肢を選び、サービスの広め方を考えていく。その認識がまだまだ甘かったと、事業をここまで進められた経験を持つ長澤さんならではの失敗談を、最後にお話いただきました。
プレゼン終了後には、集まった視聴者の方からの質問・相談に答える、起業相談コーナーを行いました。
起業に関心のある学生の他、長澤さんのコーチングサービスを過去に利用された方からもご視聴いただき、小学生、高校生、大学生、社会人と幅広い方に相談・参加いただきました。
最後に、長澤さんより暖かいお言葉をもらいつつ、イベントは終了しました。
「本日はありがとうございました。参加者の皆さんはこの義務でもないイベントに自ら足を運んで情報収集に来てくれるような、そういう意識の高い方々だと思うので、今日相談した内容やアドバイスを愚直に実践してみれば、自ずと道はどんどん開けて、助けてくれる仲間やメンターの方々が見つかると思います。実際に小さな一歩でいいので、行動してみていただけると良いかなと思います、応援しています。」
今後もオンライン寺子屋は定期的に開催していきます。
それでは、また次回のオンライン寺子屋でお会いできればと思います!