ICT化が進む教育現場、子供たちが安心・安全をどう守るか
第41回オンラインシンポ「GIGAスクール構想時代のセキュリティの課題と対策」
レポート・後半

活動報告|レポート

2021.5.28 Fri
ICT化が進む教育現場、子供たちが安心・安全をどう守るか<br>第41回オンラインシンポ「GIGAスクール構想時代のセキュリティの課題と対策」<br>レポート・後半

概要

超教育協会は202147日、デジタルアーツ株式会社マーケティング部プロダクトマネージャーの内山 智氏と営業部の今田 鉄彦氏を招いて、「GIGAスクール構想時代のセキュリティの課題と対策」と題したオンラインシンポジウムを開催した。

 

シンポジウムの前半では、内山氏が、GIGAスクル構想におけるセキュリティ対策の現状と課題について講演し、今田氏が同社のフィルタリングソフト「i-FILTER」の機能を紹介。後半では、超教育協会理事長の石戸奈々子をファシリテーターに、視聴者を交えての質疑応答を実施した。その模様を紹介する。

 

>> 前半のレポートはこちら

 

■日時:202147日(水)12時~1255

■講演:
デジタルアーツ株式会社 マーケティング部プロダクトマネージャー
内山智氏
デジタルアーツ株式会社 営業部
今田鉄彦氏

■ファシリテーター:石戸奈々子 超教育協会理事長

 

▲ 写真・ファシリテーターを務めた

超教育協会理事長の石戸奈々子

 

内山氏と今田氏による講演終了後、後半ではファシリテーターの石戸より参加者から寄せられた質問が紹介され、内山氏と今田氏が回答する質疑応答が行われた。

教育現場の教職員の反応や「児童・生徒の声」に質問が多数

石戸:「フィルタリングについて、非常に網羅的でよく理解できました。いくつか質問がきていますが、最初に私から質問します。プレゼンで、3割の教育委員会が有料のフィルタリングを導入していないという事でしたが、導入しない理由はコストでしょうか」

 

内山氏:「はい。『フィルタリング予算を取っていなくて対応できない』と言う回答が多いですね。半数以上はコスト・費用問題で断念されています。その他にも、『そもそもフィルタリングは必要ない』とか、『フィルタリングは基本的に家庭で行う対策で、学校は何かあった時にフォローできればいい』という考えを持つ教育委員会や自治体もあります」

 

石戸:「視聴者からは、現場の負担に関して、『フィルタリングの設定は学校単位で行えばいいのか、それとも端末単位で行わなくてはいけないのか、設定の頻度なども含めて現場への負担をどう考えているか』という質問がきています」

 

今田氏:「フィルタリングの設定は、入学年度単位や学校単位でグループを分けて管理するケースが多いですね。端末を11台、個別に設定を変えていくのは現実的に難しいので、学校ごとにポリシーを分けるか、あるいは小学校1年生と中学校1年生では、異なるルールを適用するなど年次でのルール分けが多いです。

 

i-FILTERは、フィルタリングカテゴリーのテンプレートを用意していますので、まずそちらを選択することで、標準的な小学校や中学校のポリシーが適用できます。その上で、授業で使われるサイトについては、YouTubeTwitterFacebookなどのWebサービス単位で許可を設定できますので、URLを一つずつ手入力することなく簡単に設定できるのが特長です。運用開始後は、全くメンテナンスフリーというわけではありませんが、導入時にきっちりと許可するサイトを設定してしまえば、その後は頻繁にメンテナンスする必要はありません」

 

石戸:「次の質問は、『ICT利活用上の行動規範について、大人が決めるのではなく、子供たちが自分で判断できるようにするべきではないか』というものですが、いかがお考えですか」

 

内山氏:「情報リテラシーの高い中学生や高校生ならそれもある程度可能だと思いますが、問題は『ネットは家でゲームくらい』という小学生にできるのかということです。これについては教育委員会やご家庭の考え方もありますので、地域の実情に合わせて最適な方法で対応いただければと考えています」

 

石戸:「関連して私からの質問ですが、これだけしっかりと設定されていると、標準フィルタリングのまま採用する学校や自治体が多いと思います。もしそうなら、御社の『標準』が学校現場に与える影響はかなり大きくなりますし、そう考えると、小学校低学年・同高学年・中学校といった『それぞれの標準が何に基づいて作成されたものなのか』が気になります。視聴者からもSNSの取り扱いや、放課後や休み時間の制限などに関する質問がきていますが、そのあたりはいかがでしょうか」

 

内山氏:「弊社には23年間のフィルタリングソフト開発で蓄積してきたナレッジがありますので、それを元に社内でまとめたガイドラインに則って標準的な設定を作成し、適用しています」

 

石戸:「その標準設定を現場ではどのように変更しているのですか。データを収集して現状に合うように基準もアップデートしているのでしょうか」

 

内山氏:「はい。Webサイトの内容は日々更新されているうえ、サイバー攻撃による改ざんもありますので、弊社の専門スタッフが現在の設定で問題ないかを常に確認し、各カテゴリーの設定が最適かどうかを判断しながら進めています」

 

石戸:「次は、『現場での子供たちの声は調査されていますか』という質問です。スマートフォンでフィルタリングの導入がなかなか進まなかった背景に、子供たちの『LINEを使いたいのにSNSは全部フィルターがかかってしまう』といったニーズを汲み取れていなかったことがあるとも言われています。児童生徒の声と教職員の声、それぞれ重要だと考えますが、そのあたりも調査されていますか」

 

内山氏:「はい。弊社のデータベースに上がってくる情報は全て確認し、子供たちや教職員の声も含めて対応するようにしています。その中には、『子供たちが見たいサイトがいろいろあるがほとんど使えない』といった声もありますが、未確認サイトの閲覧を許可して問題が起きれば、子供たちはもちろん、ご家庭、学校、教育委員会にまでご迷惑をかけてしまいますので、弊社としては、確実に問題ないサイトであることを確認した上で許可する対応をとっています。

 

また、サイトに問題がないかを確認するアクションについても以前より頻度を高め、1日に何回も行っていますので、実運用面でも十分耐えられるものになっていると思います。『すごく重要なサイトだけど見られない』といったご意見については、弊社に直接、あるいは教育委員会を通してご連絡をいただければ対応させていただきますので、積極的に情報をお寄せいただければと思います」

 

石戸:「次の質問は、『家庭における利用を学校側の管理から切り離す方法はありますか。フィルタリングの視点から区分けがどのようにできるのか興味があります』というものですが、いかがですか」

 

今田氏:GIGAスクール構想では、学校で購入して生徒に貸与するという性質上、管理するのも学校側になります。実務的にも、フィルタリングの設定を細かく行えるのは学校側だけですので、放課後だけ保護者側で設定を変えることはできないようになっています」

 

石戸:「今後、在宅学習が増えていった時、学校が全て管理し続けなければいけないのかは議論が必要かも知れませんね。

 

最後の質問は、『セキュリティの領域において、どのような場合あるいは場所で、AIを活用できるとお考えですか』というものです。より実態に即したフィルタリングを適用するためにAI技術の活用は想定できると思いますが、今後のフィルタリングの進化について展望があれば教えていただけますか」

 

内山氏:「フィルタリングのカテゴリー分類など、活用できるところでRPAAIを一部導入しています。もちろん、しっかり確認しなければならない最終チェック段階は人間が担当していますが、そういった部分も含めて、今後はAIで対応可能な部分を増やしていくことも必要と考えています。『標準フィルタリング』の機能も現場での使われ方などもAIで詳細な分析を行い、最適な設定を提案するような形で活用できれば、フィルタリングの活用がさらに進むと思っています」

 

最後は、石戸の「GIGAスクール構想におけるセキュリティ対策の重要性、フィルタリングの導入状況などについて、網羅的に理解できました。ありがとうございました」という言葉でシンポジウムは幕を閉じた。

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