クラウド配信のデジタル教科書・教材に即対応可能、すでに注文も 第20回オンラインシンポ「東京書籍は、新型コロナ禍で何をした?GIGA後に何をする?」レポート・前半

活動報告|レポート

2020.11.13 Fri
クラウド配信のデジタル教科書・教材に即対応可能、すでに注文も 第20回オンラインシンポ「東京書籍は、新型コロナ禍で何をした?GIGA後に何をする?」レポート・前半

概要

超教育協会は2020年9月30日、東京書籍 取締役 教育文化局次長の川瀬徹氏を招き、デジタル教科書シリーズの第3弾として「東京書籍は、新型コロナ禍で何をした?GIGA後に何をする?」と題したオンラインシンポジウムを開催した。新型コロナ禍の今、そしてGIGAスクール構想が実現した後、東京書籍はどのように学びを支援していくのかについて、川瀬氏のプレゼンと質疑応答を通して参加者に提供した。その前半、プレゼンテーションの模様をお届けする。

 

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【東京書籍は、新型コロナ禍で何をした?GIGA後に何をする?】
■日時:2020年9月30日(水)12時~12時55分
■登壇者:川瀬徹氏 東京書籍株式会社 取締役 教育文化局次長
■ファシリテーター:石戸奈々子 超教育協会理事長

新型コロナ禍で何をしたのか?:学習支援のコンテンツを積極的に提供

【川瀬氏】
最初に、「東京書籍は、新型コロナ禍で何をした?GIGA後に何をする?」についてお話ししたいと思います。デジタル教科書関連のニュースが発表された直後ですので(編注:文部科学省は2020年9月29日、令和3年度の概算要求を発表、デジタル教科書普及に向けた各種施策を盛り込んだ)、その話題についてもプレゼンの後半でする予定です。

 

「新型コロナ禍で何をしたのか?」については、弊社のホームページの「学習支援コンテンツ集」にまとまっています。

 

具体的にいうと次の4点です。1つは「年間指導計画の提供」、2つめは「無料コンテンツの提供」、3つめは「問題データベース採用地区を対象にした、自宅学習用『プリントひろば』の提供」です。4つめとして、新型コロナ禍では『タブレットドリル』の採用・使用が急増した(使用率が130倍)という動きもあります。これらを個別に説明します。

▲ スライド1・東京書籍が新型コロナウィルス禍で取り組んだこと

 

1つめの年間指導計画は、学習活動の一部を授業以外で実施するために参考になるコンテンツです。ホームページに掲示したりしています。

 

2つめの無料コンテンツで一番多いのが、ワークシートなどのプリント類です。また、デジタルコンテンツ(『Dマークコンテンツ』)も提供しています。小学校の英語ではリンク・インタラックと協業してオリジナル動画を作ったり、Z会と協業して教科書準拠の動画を作ったりしています(後述)。他にも『EduTown(エデュタウン)』というホームページがあり、その中で『あしたね』『SDGs』『モノづくり』というコンテンツも公開していますし、『SDGs』は冊子も配布しています。家庭科では「ハンカチを使ったマスクの作り方」なども公開しています。

 

3つめの問題データベースについては、採用されている地区を対象に、家庭配信専用の『プリントひろば』を提供しています。学校向けの問題(IDとパスワードが必要)を家庭にそのまま配って拡散してしまうと困るので、代わりに『プリントひろば』を配布しました。そのアクセスが急増したため、サーバーを増設して事なきを得ています。ここには、各都道府県の公立高校の入試問題も載せていて、中学校の先生から好評です。

▲ スライド2・ドリル広場の活用の流れ

 

4つめが『タブレットドリル』です。実は、新型コロナ禍では本命のソフトになります。手書き認識ができるドリルだったりするので評判が良かったです。なかでも一番評判が良かったのは、履歴が残ること。子どもが学校で勉強しても、自宅で勉強しても、その履歴がクラウド上に残ります。履歴は先生に届くので、子どもに会えなくても、きちんと勉強しているか、どのくらい理解できているか、が把握できます。ただ、問題や履歴のやりとりでサーバーに負荷がかかるため、「なかなかつながらない」とお叱りをいただいたこともありました。

この『タブレットドリル』には、子どもの健康状態を確認できる機能もあり、これも先生方に評判が良かったです。

GIGA後に何をするのか?:デジタル教科書・教材の取り組み

次に、「GIGA後に何をするのか?」をお話しします。

 

1つめは、GIGA導入の最中にも取り組んでいるのですが、経済産業省のEdTech導入補助金事業です。続く2つめは、学習者用のデジタル教科書・教材の提供です。ここでは特に2つめについてお話しします。

 

まず、EdTech導入補助金事業については、経済産業省が今期30億円の予算を用意してくれました。応募条件はクラウド配信です。費用は経済産業省と企業が負担し、学校自治体は負担しなくて済むので、とても良いです。ただ1つ、「デジタル教科書は対象外」となっています。東京書籍としては、デジタル教科書以外で、『タブレットドリル』とか『マチアルキ』(ARを作ったり配信したりできるソフト)を対象にしています。29自治体・学校、338校が申請を出してくださり、9月1日から使用が始まっています。

 

今回の本題となるデジタル教科書については、東京書籍は4種類に分けています。普通は、指導者用と学習者用の2種類ではないかと思います。

 

 

4種類の内訳は、「学習者用デジタル教科書」「学習者用デジタル教材」(以上、生徒用)、「指導者用デジタル教科書」「指導者用デジタルブック」(以上、教師用)です。教師用においては、指導者用のデジタル教科書といわれるものと、指導書に付属するデジタルブックの2つがあります。

▲ スライド3・東京書籍のデジタル教科書のラインナップ

 

はじめに教科書に付属した無料コンテンツの話をします。従来、ARを用いた『AReader(エアリーダー)』というソフトを教科書にも使いたいと考えていました。これは印刷されたマーカーをタブレットやスマホでかざすと立体で見えるというものです。『ARで手に取るようにわかる3D宇宙大図鑑』という書籍では、マーカーをかざすといろんな惑星や宇宙船が出てきたり、自転しながら公転する惑星の状態がすごくよくわかるので、理科の先生に喜ばれます。これを教科書で使いたいと考えてました。

 

ただ、当時はマーカーを付けると教科書検定にたぶん通らないということで、(マーカーではなく)写真や図でARが見えるよう、マーカーなしで使える『教科書AR』を作って、いろんな教科で実現しました。こうした活動をしていたら、文科省から「教科書にURLとかQRコードを付けてもいいですよ」となりました。今春には、小学校の教科書にURLやQRコードを付けています。ほとんどの教科では、目次や表紙など目立つところにQRを付けておいて、それをかざすといろんなコンテンツが出てくるようになっています。なかでも小学校の英語では、積極的に200個ほどQRコードを付けています。

▲ スライド4・小学5年生の英語の教科書 QRコードを読み込むと様々なシチュエーションの動画や音声を聞くことができる

指導者用のデジタル教科書・デジタルブックについて

続いて、指導者用のデジタル教科書についてお話します。

 

中学校を対象に、来年の春は国語、社会、数学、理科の4教科で発行します。運用形態は、ローカルインストールでも、校内サーバーでも、クラウド配信でもOKです。なおかつ、Windowsでも、iPadでも、Chrome (OS)でも使えます。

 

指導者用のデジタル教科書に関しては、ここにきてGIGAスクールの話がどんどん出てきたことにより、価格設定を新しくしました。クラウド配信版の全学年セット(4年間)の価格を新たに設定(20万円、これはDVD版と同じ)、さらにはDVDも付属する設定(24万円)を設けました。これは、先生用のパソコンは、今はWindowsなのだけれども、途中からChromebookに変わるとかiPadに変わるとなったときにどうする?という指摘に応えるものです。

 

デジタルブックについては、指導者用のデジタル教科書にはない、英語がラインナップに入っています。この英語については、最初に小学校英語でデジタルブックにしました。指導書にデジタルブックを付けたことによって全学校に供給できたので、中学校英語も指導書に添付するというかたちで発売します。

 

英語のデジタルブックには、本文の他にも、さまざまな「お道具箱」を用意してあります。このうち中学校の先生が一番使うのは「フラッシュカード」ではないでしょうか。フラッシュカードでは、英語だけとか、英語から日本語とか、その逆とか、いろんな設定ができるようになっています。さらに、自動送り・手動送り、再生回数、表示秒数なども選択できます。さらに、小学校の復習をしたければ、(発音時の)口のかたちなどを表示できるようにしてあります。

▲ スライド5・英語の指導者用デジタルブック 解説やフラッシュカードなど様々な機能がある

 

学習者用のデジタル教科書・教材について

学習者用のデジタル教科書・教材のほうも、もう体験版ができています。欲しい方は、弊社の営業にお声がけしてください。ホームページからもログインできます。

 

この特徴は、複数の教科・教材を一つのビューアで一括管理できること。さらに、見たいところの拡大、参考資料へのリンク、ペンツールでのメモ書きといった機能です。特別支援の機能として、文字の大きさ・行間・配色の調整、読み上げ、フリガナ、分かち書き、動画表示などもあります。

 

特別支援向けの機能として、縦書きを横書きに変換する機能も入れてあります。実は、外国人の方から「縦書きに慣れていない」とよく言われます。調べてみたら、縦書きをするのは日本語とモンゴル語くらいしかないのです。ですから「横書きにできない?」と言われまして「では、しましょう」とお応えし、できるようにしてあります。

 

▲ スライド6・横書きに慣れている方向けの学習者用デジタル教科書

 

もう一つ付け加えると、デジタル教材には、「学習者が試行錯誤できる工夫」を盛り込んであります。答えを得るには、いろいろな方法があります。我々はよく言うのですけれども、「山を登るのに、正面から登っても、裏側から登っても、右から登っても、左から登っても、答えは一つ。考え方はいろいろあるよね」ということです。子どもたちに多様な考え方を理解してもらえるように、試行錯誤の道具として使える工夫をいろいろと用意しています。

価格については、学習者用のデジタル教科書と教材の一体型は、高いもので1600円、安いものになると550円です。

 

なお、学習者用のデジタル教科書と教材を動かしている教科書ビューア『Lentrance Reader』は、クラウド配信にもいち早く対応しています。学校ではパソコンで使い、自宅ではタブレットで使う、通学の途中ではスマホで勉強する、そういうことができるようになっています。学びが、途中で途切れないで継続してできる、ということです。デバイス間での同期もとれていて書き込み等の学習履歴も残ります。極めて使いやすいかたちになっていると思っています。

▲ スライド7・クラウド配信にも対応したLENTRANCE READERの概要

 

GIGAスクール構想の実現後について

今後の見通しでは、ChromebookやiPadが増えていく、つまりクラウド配信が前提になっていきます。

 

クラウド配信の良い点は、「インストール作業がいらない」「端末の容量や故障を気にしなくて済む(例えば入学したら卒業するまで使える)」「IDとパスワードさえあれば、学校でも自宅でも通学途中でも学習できる」「パソコンでもタブレットでもスマホでも使える」ことです。

 

新型コロナ禍では、クラウド配信が海外の日本人学校で非常に好評でした。指導者用のデジタル教科書や学習者用のデジタル教科書をDVDで買ったけれども、物流が滞っていて届かない。「では、IDとパスワードを出しますから、クラウドに入ってその期間に使ってください」というように対応したら、すぐに使えるということで喜ばれました。

最近の動向を踏まえた追加内容

ここからが直近の動向を踏まえて、急遽付け加えた内容です。

 

政府は9/23、デジタル庁創設に向けた基本方針を年内にまとめるよう指示しています。9/25には文部科学省がデジタル化推進本部を設置しました。同時に、デジタル教科書の購入代を国が負担する方針を固めました(編注:小学5、6年生と中学生に提供予定)。

 

さらに9/30には、文部科学省の概算要求として、学習者用デジタル教科書普及促進事業(52億円)が明らかになりました。デジタル教科書(50億円)、検証(2億円)というものです。概算要求でのポイントは、「1人1台端末の環境等が整っている小・中学校を対象として、デジタル教科書(付属教材を含む)」という文言です。東京書籍のコンテンツに当てはめると、デジタル教科書と教材の一体型の普及促進を図るということです。また、「宿題など学校の授業以外の場でも活用できるように、パブリッククラウドを使用した供給方式とする」という文言もあります。これらはすでに我々は全部できています。そのため、即やっていただいても大丈夫です。GIGAの入った学校から、即座に注文いただいてもけっこうです。すでにバタバタと注文が入り始めています。あとは、「他の教科書会社さん、全部ついてきてね」というのが私の意見です。

>> 後半へ続く

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