概要
「異業種参入相次ぐプログラミング教育市場」をテーマにプログラミング事業に参入されている企業の皆様にご登壇いただき、シンポジウムを開催いたしました。
後半の、企業の皆様とのディスカッション内容をご紹介します。
モデレーターを石戸奈々子がつとめ、主に7つのテーマに基づき議論しました。
前半・プレゼンテーションのレポートはこちら
超教育協会シンポジウム「異業種参入相次ぐプログラミング教育市場」レポート(1/2)
日時: 2019年12月2日(月)10:30~12:00
会場: 紀尾井フォーラム
主催: 一般社団法人超教育協会、NPO法人CANVAS
参加メンバー
※50音順 ※敬称略
石川あゆみ 東急株式会社 沿線生活創造事業部ウェルネス推進グループ課長代理
石崎隆行 株式会社タミヤ 営業部 営業課
上野朝大 株式会社サイバーエージェント エデュケーション事業部部長
門脇哲太郎 ソフトバンクグループ株式会社 総務部CSRグループ
末廣章介 株式会社ディー・エヌ・エー CSR推進グループプログラミングゼミ開発者
田那辺輝 株式会社ミクシィ 開発本部CTO室
成瀬允宣 GMOインターネット株式会社 デベロッパーリレーションズチーム デベロッパーエバンジェリスト
西尾勇気 LINE株式会社 公共政策室社会連携チーム マネージャー
石戸奈々子 超教育協会理事長、NPO法人CANVAS理事長
Q1.なぜプログラミング教育を事業またはCSRとしてスタートしたのか?
タミヤ 石崎氏 :「STEMとして(*Eに〇)」
タミヤは、こども達の技術やエンジニアリングの楽しさを伝えることがミッション。時代の流れでそこにプログラミングも入ってきた。
GMO 成瀬氏:「親御さんへのプログラミング教育の理解を深める」
プログラミング教育の必要性をお子さんや保護者に伝えたいという想いでコエテコ事業をスタートした。これからIT化がより進んでいく中で、プログラムを書けるというだけで未来が大分広がる。その理解を広めたいというのがきっかけ。
ーー石戸: IT人材の不足という点では上野さんどうですか?
サイバーエージェント 上野氏:「IT人材不足の実感。」
我々が事業を始めたのは7年程前。その当時、新人エンジニアの争奪合戦がニュースでも出ていた。IT企業としても切実な悩みだったし、1人の親としてもこども達にプログラミングの楽しさを教えたい。そんな思いからサービスを始めた経緯がある。通わせたいスクールがなかった。
DeNA 末廣氏:「武雄市での低学年向けコンテンツ→次世代人材育成」
方向性としてはみなさんと同じ。大きなビジョンから始めたというよりも、自分達のこどもに教えたいという気持ちから。武雄市で低学年向けにスタートして手ごたえを感じ、全国的にも展開を始めた。
mixi 田那辺氏:「責務とタイミング」
我々の仕事はたくさんの人に利用してもらえるもの。プログラマーやエンジニアという仕事に興味をもってもらい、職業の選択を広めてもらいたい。
ーー石戸:裾野が広がることで、ITに関わる職業を選択する人が増えていくということですね。
Q2.プログラミング教育必修化の現時点での課題とは?
ソフトバンク 門脇氏:「先生のマインド」
先生のマインド。ソフトバンクは公立の小中学校向けに、教材を提供している。先生のITスキル問題が課題じゃないかといわれるが、これまで公立の小中学校で30,000回授業ができている。スキル不足でも、先生のやる気が整えば実現できると証明できた。こどもたちがPepperをプログラミングするとすごく盛り上がるし、楽しんでくれる。他の教科に比べて、プログラミングをしている時は圧倒的に子どもたちの目が輝く。そんな姿を見て、先生が突き動かされたのが大きい。
ーー石戸:こども達がいきいきと主体的に学習していると、先生たちももっとやってあげたいという気持ちがうまれますよね。
GMO 成瀬氏:「教える側の不足 アンプラグドに寄りがち」
現場としてアンプラグドに寄っていることを気にしている。プログラミングがよくわからないという方が多い中でアンプラグドは逃げ道だというのはわかるが、アンプラグドでプログラミング的思考を学ぶ内容は、公教育の中で行われてきた思考の組み立てと変わりがない。それをあえてプログラミング教育の中でやる必要はない。コンピュータ教育へどうつなげていくのかを考えることが大切。
ーー石戸:プログラミング教育推進にあたり環境整備の課題が大きい。その中で、アンプラグドを推奨する流れがありました。しかし、コンピュータを実際に触りながらプログラミングをする体験を通じて、コンピュータとはなにか?情報化社会とはどいういうことか?という理解を深めることが大切だと思います。当時、文科省にもコンピュータを使うことと明記したほうがいいのではないか という話をし、プログラミング教育のガイドラインにも基本的にはコンピュータ を使うことと記載されていますね。
東急 石川氏:「時間不足」
今渋谷区の皆様と議論している中で、先生のITスキルや環境整備という問題があるが、必修教科で学ぶことが多過ぎてプログラミング教育に割ける時間がないのが大きな問題。教科の中に盛り込むのか、課外活動に盛り込むのか、誰もが必修できることへの課題だと思う。
mixi 田那辺氏:「学習時間」
すべてのこども達にプログラミングの基礎を身に着けてもらうために、少ない時間の中でどんなカリキュラムや教え方が適切なのか見つけていくのがとても重要。
ーー石戸:先生方の長時間勤務が深刻化している中で、超教育協会としても、より力を入れるべき授業などの事項と、アウトソースするなどして負担を軽減できる事項や本来学校が行わなくてよい事項の整理をしています。
また、AIを活用してより効率的に学習することで既存の学習時間を短くし、プログラミングなどを通じた21世紀型のスキルを育成する学びの時間を確保するという方法もあると思いますので、その点に置いてIT企業に期待しています。
LINE 西尾氏:「各学校によってレベルの差が生まれる」
今まであった課題感もある中で、学校によってレベルの差がうまれていることを感じている。必修化の先に、長けた学校と結局やらなかった学校が出てきてしまうと思う。
ーー石戸:その先の中学校に上がった時にレベル差があるというのが次の課題として挙がってきますね。
DeNA 末廣氏:「現場に必要な情報が届きにくい」
2020年の必修化に向けて石戸さん含めて多くの人が情報発信をしているが、なかなか教育現場の先生に届かない。やらねばならないことが山ほどあるからだと思うが、我々としては発信しているつもりなのに現場に届いていないのがもどかしい。
ーー石戸:それこそKids Valleyのようにみんなで一致団結して発信していくことに力を入れていくことが大切になってきますね。
Q3.プログラミング教育必修化に向けた課題を民間企業としてどうサポートするべきか?
GMO 成瀬氏:「芯となる考え方を伝える」
やっぱり先生は教えるのがうまい。プログラミング教育で教える芯となる考え方を先生達にしっかり伝え理解してもらうことで、先生達のやり方でこども達に教えてくれることにつながると考えている。
タミヤ 石崎氏:「教室と社会のつなぎ役」
教育委員会と関わる中で、スキルが社会の中でどう役に立っているのか、プログラマーの皆さんが楽しそうに仕事をしているなど、憧れる側面を教室の中に持ち込んでいくことが民間の役割だと思う。
ーー石戸:我々も様々な学校で出張授業をしてきましたが、mixi 田那辺さんのプレゼンにあったようにプログラミングそのものを伝えるだけではなくて、それがどのように社会の役に立つのか実例を交えて学ぶことで、子どもたちは学習の意義を実感できると思います。
ソフトバンク 門脇氏:「先生目線でトータルサポート」
先生が実行できるように企業がサポートしていくこと。学習指導案・指導書などの教材とともに、さらに先生が困った時に直接質問ができるサポートデスクといった仕組みがあると良い。また教育委員会や市長といった人たちへの理解を進めていくことも民間の務めであると感じている。そういった自治体との関係性を作ることで、先生が現場でやりやすい環境をサポートしていければと思っている。
ーー石戸:「先生目線で」というのは大事ですね。学校だけに任せるのではなく民間がトータルにサポートというのが大事。
サイバーエージェント 上野氏:「学校に期待し過ぎない。むしろ民間教室が主役へ。」
学校を支援するのが企業の良き在り方だと思うが、本業はビジネス。ビジネスは、社会課題の解決にもつながると思っている。学校現場が多くの課題を抱えて事を踏まえて、良い意味で学校に期待しすぎず、「学校現場でできること」と「民間でできること」の役割分担をするべきだと考える。そういった意味では、民間の教育企業が頑張ったほうが良い。教育企業×IT企業のコラボに大きな可能性があると考えている。
ーー石戸:これまでも学校の授業で音楽に興味をもった子はピアノ教室に通ったり、体を動かすことが好きになった子は水泳教室に通ったりなど、学校だけにすべてを担ってきたわけではないですよね。学校での動機づけがあり、そこから先を民間でサポートしていくというのも大事。
mixi 田那辺氏:「方法やコンテンツ支援」
mixiは、中学生を対象にしている。小学校でプログラミングを学んだ後で、中学校ではどう学んでいくかは今後具体化していくことになるが、我々は高校または未来にどのようにプログラミングを学んでいくのかを見据えて、提案するという支援を考えている。
DeNA 末廣氏:「教材」
先生がものすごく理解して教えている授業よりも、先生はファシリテーションに徹してこども達が楽しんで教え合いをしているようなケースの方がうまくいっている。教材でこども達が自学自習して自然に学べる、そういったサービスを提供したい。
ーー石戸:教える時代からファシリテーターの時代へとよく言われていますが、先生の間違えをこども達が指摘して盛り上がる、そんなケースをたくさん見てきました。そんな先生の在り方もありですよね。
LINE 西尾氏:「体験していただくこと」
自分がプログラミング教育に初めて触れたときに、自分の思考が活かせるのが楽しかった。まずは先生やこども達の中のプログラミング教育へのアレルギーを取り去ってあげるべきではないか。つまりは体験することが何よりも大事だと思う。体験から気付ける環境作りをすることが企業として支援できることだと考えている。
東急 石川氏:「地域・企業のハブ役」
弊社の立場としては、街として地域社会として、どのようにプログラミング教育に向き合っていくかが大事。IT企業ではなく街づくりの会社なので、プログラミング教育のカリキュラムを作ることは得意ではない。今回のKids Valleyのようにできる企業さんにお声かけをして、行政や学術機関、地域のシニア人材などにもお声かけをして、社会全体を巻き込んでみんなの力をプログラミング教育に終結させるハブ役として活動していきたい。
ーー石戸:プログラミング教育が開かれた学校づくりのきっかけになると思います。他のみなさんの意見も概ね同じなのではないでしょうか。未就学から社会人教育まで、公教育も民間教育も連携しながら様々な組織が手を取り合い、新しい教育を作っていくという意見では一致していると思います。
Q4.日本のプログラミング教育市場をどうみているか?
サイバーエージェント 上野氏:「楽観視できない・・・。」
一般的には右肩上がりの市場と言われている。教育産業としては成長の可能性が高いが、若干バブル的様相もあると感じている。実際に教室を展開している我々の肌感として、需要よりも供給ペースの方が早い。企業が張り切って、まだ保護者の皆さんがあまりついてきていない。過剰供給による値崩れやサービス品質低下につながってくると、市場の健全な成長につながらないとやや危惧している。
DeNA 末廣氏:「難」
市場としてというと、難しいと感じている。やるべきだという責任はあるが、どうしたら持続的に進めていけるのかは難しい。
ーー石戸:ビジネスとしては難しいけれどやらなくてはいけないこと。だからこそ公教育でやる意義がありますね。
DeNA 末廣氏:そういう意味ではチャレンジし甲斐があります。
mixi 田那辺氏:「今後も進歩していく」
まだ始まったばかりということもあり、ポジティブにとらえている。学校でスタートしたらもう少し具体的にニーズが高まるのではないか。まだ余地があると思う。
ソフトバンク 門脇氏:「成長期」
基本的には成長していくととらえている。日本だけではなく、海外含めて情報化社会が急速に進んでいる中で、中国やアメリカなど海外展開も見越している。
タミヤ 石崎氏:「ブームを無視せず乗っからず」
プログラミング教育必修化がなくても、環境作りはやりたかった。ブームを悪いことと思っていないし流れは見ているが、市場予測はしないようにしている。
LINE 西尾氏:「選択」
我々民間企業はどうビジネスにつなげるのか、どこまでCSRでできるのかという事を考えなければならない。ビジネスとしてやるならば利益がないなら切らなければならない。LINE 西尾氏としては、今月にコンテンツ作りのための財団を作る。CSRを財団化することで、利益ビジネスではない形で、この活動を本気で取り組んでいくという選択をした。
ーー石戸:これまでCSR活動こそ業績等が悪くなるとすぐに切られるイメージがありましたが、むしろ事業の方が、切られるということですか?
LINE 西尾氏:
CSRとしても切られやすいし、事業だと本来届けたい学校・こども達のためという方向性ではなくなってしまう。CSRを継続するために、財団化という選択をした。
GMO 成瀬氏:「盛り上がり過」
企業として広い市場になるだろうと予測はしている。ただ今の段階で自社がどう事業展開をしていくかは検討中。継続のいはマネタイズが必要なので慎重になっている。CSRも業績が悪くなれば続けられなくなる。
ーー石戸:各社プログラミング教育を大事にしつつも、マネタイズの面では日々苦労しているわけですね。
GMO 成瀬氏:
サイバーエージェント上野さんと同じく供給が多いと感じている。その中に入って切磋琢磨すると言うよりは、インフラ企業として何ができるかを考えねばならない。
東急 石川氏:「保護者、こどもたちの関心度次第!」
皆さんと同じく、供給の方が意識が高いと感じている。今後は保護者やこども達の関心を育むことが求められる。商業施設などでのイベント開催などを通して、習い事の選択肢の1つにプログラミングが入れるように周知していくことが、市場の伸びに関して重要。街づくり企業として貢献していきたい。
Q5.グローバル市場をどう見ているか?
ーー石戸:日本は、諸外国と比較して、プログラミング教育の導入が決して早かったわけではありません。その一方で、世界の進んでいると言われている国々も、一部の学校や地域だけというケースも多くみられます。そのような中で、日本は導入が決まれば、全国津々浦々、一定以上の質で導入される。上手にやれば一気に先進国になれるのではないかという期待も込めての質問です。
サイバーエージェント 上野氏:「Big Chance! でもまずは足下から・・」
海外の市場に関しては大きなチャンスがある。アメリカも中国も、オンラインベースの教材が10億円規模のものがある。日本製のコンテンツがそこに挑戦する価値はあるが、投資余力がない。まずは日本で足元を固めていきたい。
ーー石戸:是非グローバルに打って出てほしいと期待しています!
DeNA 末廣氏:「サービスのグローバル配信中」
すでに海外展開をしている。サポートしているのが日本語と英語なので、まだ日本のユーザーの方が多い。日本のアニメとコラボしていると様々な国々から需要がある。
ーー石戸:クールジャパンの流れにのってプログラミング教育も!というのは面白いですね。キャラクタービジネス的な展開もあるかもしれません。
GMO 成瀬氏:「パイはある」
我々GMOは、アジアを含めグローバルにも展開している企業。パイは非常に残っていると感じているが、入り方を間違えると日本と同じで事業として失敗してしまう。楽観的に見ているが、参入は慎重に検討していきたい。
ーー石戸:確かに教育は各国の文化があるので一朝一夕にはできるという話ではないのかなと思います。
ソフトバンク 門脇氏:「ローカライズが鍵」
アメリカと中国で提供している。中国だと日本に提供しているものよりも高度な内容を求められるので、どう対応していくか検討している。
LINE 西尾氏:「各国の文化にあわせて」
教材作成を大学の先生方と行っていると、そのまま日本の教育を持っていけないと実感する。ニーズに合わせて対応していきたい。
Q6.プログラミング教育必修化で日本はどう変わるか?
GMO 成瀬氏:「表現に前向きに」
プログラミングには、「何を作るか」と「どう作るか」がある。同じゴールであっても様々なやり方があることを、プログラミングを通して知ることができる。また小学生から表現することに慣れることで、日本全体が表現することに前向きになると期待している。
ーー石戸:一億総表現者時代ですからね。手段を身に着けてほしいですよね。
DeNA 末廣氏:「楽しくなる」
我々も皆さんも経験で知っているが、プログラミングの授業は楽しい!間違いなく、教育が楽しくなる。楽しいという経験が、社会でも役に立てていけると考えている。
ソフトバンク 門脇氏:「勉強が楽しいものに!」
今までは勉強は嫌なものだった。プログラミングの授業では、勉強が苦手な子もいきいきする。そこに可能性やパワーを感じている。
東急 石川氏:「“知る”から“創る”へ もっと楽しくなる!」
知識詰め込み型の学習から、作っていくために学ぶ学習に変わっていく。より一層こども達が楽しむ学習に変わる。
ーー石戸:本格的な生涯学習の時代と言われていますが、生涯にわたって学ぶためには、楽しいことが一番大事ですよね。
タミヤ 石崎氏:「ダンスみたいになったらいい」
プログラミング教育もダンスのように親しまれるようになると思う。私たちの世代では、ダンスは恥ずかしいものという考えがあったが今のこども達はとても楽しそう。必修化でこんなに変わるのかとカルチャーショックを受けた。続けていけば意識を変えることができると期待している。
ーー石戸:日本人は、全員が縦笛が吹けて、街で道を聞かれれば地図を書ける。それは、世界の中でもとても珍しく、図工や音楽の学びが充実していたからこそできることなのかなと思います。
LINE 西尾氏:「想像力、判断力向上」
プログラミング教育を見ていて、こども達の想像力や判断力が上がっていることに驚かされている。想像力や判断力が向上することで、こども達がスマートフォンやインターネットに触れるときのトラブルを予測する力の向上にもつながってほしい。思考のトレーニングが勉強など全体的な力の底上げとなり、より安心安全な社会へつながると期待している。
mixi 田那辺氏:「ICT一般化はする」
ICT機器の仕組みをより理解する人が増える社会となる。こども達がネットリテラシーに配慮ができ、大人になって社会へ出ていくと期待している。
ーー石戸:すべての人が、ICTリテラシーがあるというのはこれから大事。企業からしても、皆がリテラシーを持っていないとサービスが広がらない。
サイバーエージェント 上野氏:「必修化・・からの~?」
都心から離れた地域でもプログラミングをしたことがあるこども達がたくさんおり、こども達、保護者、先生方の意識の変化を感じている。ただ、必修化したからOKではなく、必修化してからまたどうしていくかがより一層大事。
ーー石戸:我々はまだスタート地点に立ったばかり。これからが大事ですね。
Q.7日本の教育は今後どうするべきか?
ーー石戸:150年変わらなかった教育が大きな変革期を迎えています。学校だけではなく民間も含めて、皆で推進していかなければならない。このタイミングで皆さんは日本の教育をどう考えているのでしょうか?
mixi 田那辺氏:「時代に合わせて発展してほしい」
今回時代に合わせてプログラミング教育が加わったように、今後も時代の波に合わせて教育現場に変革していってほしい。そこに向けて我々も協力していきたい。
DeNA 末廣氏:「創造性・情熱・コミュニケーション」
創造力を鍛えて、それを情熱をもって伝える表現力があれば、これからの変化の大きい時代でも発信ができる人材を日本で育成できるのではないか。
GMO 成瀬氏:「やり方はひとつでない」
個人の意見が強いですが、やり方はひとつでない。これは生徒がプログラミングする方法が1つでないというのとともに、先生も教え方が1つでない。多様性が叫ばれている中で、画一的なやり方ではうまくいかない。多様性を受け入れ、様々なやり方があるという事を意識してもらいたい。
ーー石戸:新しい学びだからこそ多様性を大事にしてもらいたい。
サイバーエージェント 上野氏:「もっとAdaptiveに、もっと楽しく!」
アダプティブ=個別最適化。皆が一斉に同じことを学んでいく時代ではないと皆が思っているが、具体的にどう制度やシステム化するか、行政も民間も知恵を絞っていくべき。それが実現すれば学ぶことがもっと楽しくなる。楽しければ続けていける。民間として尽力していきたい。
ーー石戸:多様性を受け入れアダプティブに対応するというのもITが得意とするところ。民間の皆さんに協力してほしいです。
東急 石川氏:「社会につながる輪の中に」
教育を分けて考えるのではなく、こども達を育てるために・未来の日本を作るために、民間も行政も1つの輪の中で学び合って教え合うという形になると良い。
LINE 西尾氏:「民間との連携」
取組に関わってみて、学校現場のリソース不足に気付かされた。課題を挙げるばかりではなく、今こそ民間と行政が手を組むべき。これを機にプログラミング教育だけではなく、より強い連携を図っていくタイミングになると良い。主役はこども達。
タミヤ 石崎氏:「多様性お願いします」
プログラミングに限らず、色んなことができるこども達を認めてもらえる学校であってほしい。
ソフトバンク 門脇氏:「実社会の課題から学ぶ」
これからは実社会の課題から学ぶ機会が増えていくように思う。プログラミングがそのきっかけになると思っている。
ーー石戸:プログラミング教育はスタート地点に立ったところです。新しい挑戦には失敗がつきものですが、失敗すると世間から叩かれる傾向にある。しかし、むしろ新しいチャレンジを応援してもらいたいと思います。
世界中が新しい教育の構築に向けて試行錯誤をしています。ぜひ社会全体をサポートしてほしいと願っています。