概要
第20回データワーキンググループを開催しました。
日時:2025年4月22日(火)9:00〜10:00
*オンライン(著作権WGとの合同開催)
内容
1)プレゼンテーション 文部科学省 高谷 浩樹氏
プレゼン後、高谷氏と教育データの利活用について議論。
2)教育におけるデータ連携と利活用について議論
プレゼンテーション(高谷氏)の要点
・教育データの利活用がうまく機能していない現状がある
・「学習eポータル」という学習基盤が歪んだビジネス構造となっており、NTTコミュニケーションズ(36%)と内田洋行(34%)の2社で市場シェア70%の寡占状態にある
・基盤が無償で導入されたことが、独禁法上の優越的地位の濫用に近いビジネス構造を招いている
・教育データの標準化が進まない問題は、この歪んだビジネス構造と関連している
・ビジネス界と教育界の関係性に根本的な問題があり、相互理解が不足している
・企業は学校現場が必要とするサービスを考えて提供する「カスタマーサクセス」の視点が必要
・解決策として「学習eポータル市場の正常化」と「データ標準化の加速による学習リソース市場の正常化」を提案
主な意見
・高等教育では「ID連携」が大きな課題
・個人の学習データの保証と集団としての教育効果検証の仕組みが必要
・技術変化に伴う保守コストの負担とビジネスモデルの構築が課題
・初中等教育と高等教育を連続的につなぐ視点が重要
・教育データの標準化は現場に腹落ちしておらず、何の役に立つか理解されていない
・デジタル教科書の在り方に関する議論が始まり、「紙」「デジタル」「ハイブリッド」の選択が可能になる方向
・市場が熟成する前に「取り合い」が始まっている問題
・接続費用の負担問題が未解決
・著作権は主に「財産権」の問題であり、正当な対価が支払われれば協力的
・デジ庁からの著作権料支払いが前提の依頼には教科書会社が協力的
・パーソナルAIエージェントの登場でサービスの使い方が大きく変わる
・今後は個人に帰属するAIが各種サービスと仲介する形に
・標準的なAPIの公開が必要になり、現在の「学習eポータル」は消えていく可能性
・医療分野と比較して教育分野はデータ連携基盤等の議論の積み重ねが必要
・シングルサインオン(ID連携)がAIエージェント以上に重要なテーマ
・データ政策を進める上で、個人の権利、競争政策、産業政策とセットになった議論が重要
・eポータルの独占寡占問題や企業と学校の関わりは「教育政策」ではなく「競争政策」「産業政策」の問題
・問題意識の立て方を変え、専門家の巻き込みが必要
今後の提案・アクション
1.高谷氏による公開プレゼンテーションと討論の場を設ける
2.ディスカッションメンバーを再編成する
3.「論点総括編」を作成し、次の「アクションプラン」の段階へ進める
4.「どこから突破すべきか5か条」のような具体的な提言を作成
5.産業政策とデータ連携、AI利活用の視点から3〜5点の重要ポイントを固める
6.データWGと著作権WGを統合したメーリングリストを作成し、論点を共有
7.まとめた内容をベースに超党派ICT議連の遠藤先生へ提案
8.医療データ利活用の提言を参考に、教育データ利活用の提言を作成