これからの学校教育でどのようにウェルビーイングを実現したらよいか
第127回オンラインシンポレポート・後半

活動報告|レポート

2023.7.28 Fri
これからの学校教育でどのようにウェルビーイングを実現したらよいか</br>第127回オンラインシンポレポート・後半

概要

超教育協会は2023614日、慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授の前野 隆司氏を招いて「教育とWell-being(ウェルビーイング)、幸せについての学問」と題したオンラインシンポジウムを開催した。

 

シンポジウムの前半では、教育とウェルビーイングについて幸福学を研究する前野氏が、これからの学校教育でどのようにウェルビーイングを実現したらよいかについて説明。後半では、超教育協会理事長の石戸 奈々子をファシリテーターに、 視聴者からの質問を織り交ぜながら質疑応答が実施された。その後半の模様を紹介する。

 

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「教育とWell-being(ウェルビーイング)、幸せについての学問」

■日時:2023年6月14日(水)12時~12時55分

■講演:前野 隆司 氏
慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授

■ファシリテーター:石戸 奈々子
超教育協会理事長

 

▲ 写真・ファシリテーターを務めた
超教育協会理事長の石戸 奈々子

 

シンポジウムの後半では、超教育協会理事長の石戸 奈々子をファシリテーターに、視聴者からの質問を織り交ぜながら質疑応答が実施された。

子どもたちが「幸せ」になるには具体的にどのようなことを実践すればよいのか

石戸:「早速、質問がきています。『子どもたちの将来のウェルビーイングのために特に伸ばしていったほうがよい能力、スキル、コンピテンスがありましたら教えてください』というものです。前野先生は子育て本を出版されていますが、ウェルビーイングを考えた教育環境を用意するとしたらどうなるのかということも含めてお答えいただければと思います」

 

前野氏:「子育てに関する本は『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』というものです。子どもたちを幸せにしたければ親が幸せであることが大切という内容です。

 

また、教育者が幸せであることも大事です。多くの学校の先生は忙しすぎて疲れ果てて教育しています。それではいけませんので学校の先生方が幸せになるにはどうすればよいのか、自分たちの幸せをよく理解して子どもたちを信じて育てることだと思います。ChatGPTが知識を提供できるようになることで、受験問題を解く知識力の必要性はこれからどんどん減っていきます。そんな中でこれから必要となるのは人間の人間らしい力、つまり感性や人を信じる力。疑う力もあるかもしれませんが、要するに人間性豊かに人間らしく生きる力であり、人間としての器を大きくしていくことです。資本主義時代は器が小さくてもよいから、金持ちになる策さえ持っていればよいよという時代になりすぎたので、偉人と呼ばれる人が排出されなくなりました。もっとよい人になるというか、人間性を磨いて利他的で視野が広くてチャレンジ精神があってという人間性を磨くことが人類には必要です。もちろん、そのためには、森や畑に入ることで感性を磨くのも大事です。

 

現代は情報化社会と言われていますが、実はデジタル社会というのは、情報の少ない社会です。自然林に行くと分かりますけど、そこにはものすごい情報量があります。感性の情報に溢れていて、それを失ったのが現代人です。五感による力がものすごく落ちています。現代人が真の情報化社会に戻るためには、やはり自然に触れることや感性の教育が求められています」

 

石戸:「次も参加者からです。『テクノロジーの進化で幸せの定義も変わってくるのではないでしょうか。今後、その進化によって幸福の尺度が変わってくるのではないかと思いますがどうでしょうか』という質問もきています」

 

前野氏:「資本主義ではない専制政治の時代や身分制社会の時代の幸せはやはり違います。資本主義、自由主義の社会での幸せというのは、やりがいがあって、繋がりがあって、チャレンジして、個性があってという『幸せの4つの因子』が重要という意味ではさほど変わらないと思います。すなわち、私が子どもだった頃のインターネットがなかった時代と今とでは、そんなに変わってないと思います。テクノロジーは様々な形で世の中を便利にしましたが、人は結局、人と触れ合うと幸せだし、やりがいを感じると幸せです。そういった意味では、この社会体制が専制政治に戻るのではない、自由な環境にある範囲では、そんなに違わないと思います。

 

それでは何が違うのかというとテクノロジーをどう使うかだと思います。すなわち、インターネットは人を幸せにするか、AIは人を幸せにするか、ロボットは人を幸せにするかという議論がありますが、これは全て両方です。使い方次第で幸せにもなるし、不幸せにもなります。

 

質問の答えからはずれると思いますが、逆にテクノロジーを人類のウェルビーイングに資するようにうまく作り上げていくことが必要であって、テクノロジーの進化でどうなるかではなく、どうなるかは我々がコントロールして創造する必要があると思います。

 

例えばゲームのやりすぎはどう考えても不幸せですが、今は規制がありません。昔、自動車が登場したばかりの頃に 事故が起きた。そこで運転免許制を作って、我々が制度によってテクノロジーをコントロールするようにしたわけです。今は過渡期の時代であるとも言えます。幸せの基本は変わらないと思っています」

 

石戸:「情報技術は人との繋がりを深めたり広げたりしますが、一方で孤独な状況の人も生み出しました。使い方次第で幸せを高める方にも低める方にも使われる可能性がありますから、そこから先は人間の意思次第ですね。

 

『子どもの幸せやウェルビーイングを教育の柱の1つとしている学校の例として、新渡戸文化学園や広島叡智学園が挙げられていましたが、具体的な事例や取り組み、どのようにウェルビーイングを学ぶ環境を要旨されているのか、もう少し具体的な取り組みを知りたい』という質問も届いてます。

 

また私からの追加質問ですが、ウェルビーイングはアメリカやイギリスで進んでいるというお話がありました。『健康』について学ぶと同じレベルで『幸せ』について学ぶような環境を積極的に導入している国や地域があれば、それも合わせて教えていただければと思いすが、いかがでしょうか」

 

前野氏:「新渡戸文化学園や広島叡智学園は両校とも私が関係しているので、基本的に同じやり方です。それは健康と一緒なのです。健康に気をつけるためには、まず健康についての知識を身につけて、健康診断をします。次に状況に応じて健康に気をつけます。この3段階は同じです。

 

幸せについては、今日お話ししたような内容を徹底的に先生方にお伝えして、『なるほど。視野が広い方がよいんだ』、『感謝した方がよいんだ』のように知識を身につけていただきます。できれば、幸福度診断の調査を受けて自分たちの状況を把握することをやってもらうとよいです。

 

あとは、自分たちでやることです。健康に気をつける人の中には、ジョギングをする人も、水泳をする人も、野菜を食べる人もいます。同じように幸せに気をつける方法は『感謝をする』、『視野を広くする』、『自己肯定感高める』、『夢を持つ』など、様々なことがあります。その中で皆さんが自分はこれがワクワクして必要だと思うものをやっていけばよいと思います。

 

具体的に言うと、例えば新渡戸文化学園の場合は小学生のやりがいを高めるために、先生方が特別な授業をしています。幸せについてのビデオを皆で作って、それをシェアします。要するに、幸せに気をつけているということ自体を皆でシェアするという活動をしていました。

 

アメリカは、ポジティブ心理学という学問が盛んで、国際ポジティブサイコロジーアソシエーションのカンファレンスに行きますと、アメリカ人はハッピーが好きだということがわかります。周りの5人とハッピーについてシェアしましょうというような活動をやってる人は多いですね。GoogleAmazonでは『企業内チーフハピネスオフィサー』や『チーフウェルビーイングオフィサー』という役職を設けています。

 

アメリカでは様々なことを実施しています。とにかくハッピーになるのが好きな国民で、日常会話でハッピー、ハッピーと言ってる国と、幸せという言葉は、結婚式でしか使わない日本とでは、ものすごい格差があります。

 

また、ニュージーランドや北欧などの国では、ウェルビーイングバジェットというウェルビーイングを政府の予算に入れましょう」というような地道な活動をしています。海外ではこのように色々と進んでいて、日本は10年遅れのような感じが現状です」

 

石戸:「実際に教育現場でウェルビーイングを意識した学びを導入してた評価は、短期評価は難しいところもあると思いますが、どういうように変わったのか知りたいですね。

 

参加者から次のような質問もきています。『ネガティブな思考が強い性格な子どもでも、トレーニングで考え方は変えていけるのでしょうか。例えば、どのようなトレーニングや声掛けが効果的か、具体的に教えてください』というものです」

 

前野氏:「心理学で言われてることは、先天的と後天的。性格は気質と言いますが、先天と後天がどのぐらいの割合なのかというと、正確には測れないのですが、様々な研究で分かってきたことは大雑把に言って半々ぐらいです。

 

だから例えば、神経質な人の半分は先天性の性格なので変えられない、でも、半分は後天的なので変えられると言われています。ということは、半分は教育によって変えられるということであり教育にはこれだけ価値があるということです。逆に言うと、日本人は心配性遺伝子を持っている人が多いので、先天的に半分変られないから教育によって『私たちは心配しやすいです。であればもっと力を合わせましょう』と変えていくべきです。

 

明らかに個人主義的社会の方が孤立に強い傾向があり、個人で頑張れてしまう。集団主義的社会の方が幸せになりにくい傾向があるので、会社のみんなで一丸になる、家族で力合わせる、友達を大事にするという、人との触れ合いを大事にする社会を作ることによって、その不安感から脱出できることもすでにわかっています。つまり、様々な方法によって、基本的にはコミュニケーションとって、みんなを信頼し、みんなを信じて大丈夫だよという、みんな大丈夫だと思う心理的安全な場を作っていくことが重要です。それでどれぐらい成果が上がるかというと、例を挙げて説明しましょう。

 

埼玉に中島晴美氏というウェルビーイングの本を出版している方がいます。彼女は埼玉県の小学校の校長先生ですが、この小学校には不登校児が多く、色々と揉め事もあったそうです。

 

しかし彼女が校長先生に就任して、2年間は先生方に対して私が実践しているウェルビーイングを色々導入した結果、不登校児はゼロになり、『学校が楽しくて行きたい』という生徒が95%にもなりました。先生の意識を変え本気でウェルビーイングを実践すると、ほんの2年で学校は変わるのです。最初は抵抗勢力がいるでしょうが、本気でウェルビーイングに挑めば実現します。

 

小学校の先生は忙しいからできないという人もいますが、『99%の小学生は気づいていない!?ウェルビーイングの魔法』という本を中島晴美先生と山田将由先生、岸名祐治先生と一緒に出版しました。私はこの本を監修していますが、山田先生は、『幸せな学校を作って子どもたちに幸せの4つの意思を教える』ということをすると子どもたちは一丸となって、自信がない子どもも助け合って、できる子が教えていくというよい雰囲気が作れた結果、学校に問題が起きなくなると話していました。モンスターペアレンツもいないし、不登校児もいないし、問題を起こして喧嘩する子どももいなくなったわけです。

 

そうすると、毎日子どもたちは授業終わったらすぐ帰るので、先生も17時で帰れるようになったそうです。このことを他の小学校の先生に話すと『いくらなんでも無理だ』と言いますが、幸せな小学校にすると、問題が起きなくなるということなんです。問題が起きないから先生方も余計な仕事が増えず、過労になりません。過労がなくなると生き生きと教育ができて幸せな学校を作れるようになるのです。

 

不幸せな学校を作ると問題が起き、問題が起きるから先生方は残業します。残業するから過労となり、さらに問題が起きるという負のループから抜け出すことができることは、私が知ってるいくつもの学校の事例から明らかです。

 

やること自体はシンプルです。きちんとコミュニケーションをとって、信頼し合って、みんな仲良くして、チャレンジして夢を持っていきましょう、挨拶もしましょう、笑顔でいましょうという基本を実践するだけです」

 

石戸:「参加者から複数、『子どものウェルビーイングのためにはまず先生のウェルビーイングが大事だ』というご意見が届いています。それに対する回答をしていただいたかなと思いますが、負のスパイラルに陥ってる部分のどこからメスを入れればよいかというところで、皆さん、お困りなのかなということが伝わってくるコメントや質問が多いです。基本的なことから取り組むというご回答ですよね」

 

前野氏:「やることは意外と地味です。もっと有効なことを教えてくださいとよく言われます。でも私が見た限り、本当に有効なのは大きな声で目を見て挨拶、みんなで一緒に掃除する、声かけよう、励し合う、感謝し合うなど、そんな当たり前のことばかりです。ただ実は、その当たり前ができているようでできていないので、徹底すると本当に変わってきます」

 

石戸:「健康も、みんな大事だってわかっていても、健康的な生活のために、ジョギングなど運動を続けられるか、野菜を毎日食べたり、間食をし過ぎたりしないで健康的な食生活を続けられるかと聞かれるとなかなか難しいものがあります。同じように幸せについて大事だと理解しても、それが行動変容に繋がって、さらに持続的なものになるにはハードルが高いようにも思います」

 

前野氏:「まさに健康と一緒です。健康に気を付けて、毎日きちんとジョギングする人はいます。続けていると、ジョギングは気持ちよくて走らない生活なんて考えられないとなります。一方で、面倒くさくて続かない人がいます。だから、まず1つは自分を律することですが、もう1つは小学校では教育として『はい、これからラジオ体操するぞ』というのと一緒で、『はい、感謝の時間にしましょう』というようにシステム化して、みんなが習慣化づけるのは、まさに教育の力だと思います」

 

石戸:「確かに習慣化するためにシステムの中に取り込んでいくというのは、大事ですね。『幸福感が高い人は精神疾患など心の病になりにくいと推察しますが、その因果関係を長期間のコホートで証明した規模が大きい研究は既にあるのでしょうか』、という質問も届いています」

 

前野氏:「その研究結果はいくらでもあります。ウェルビーイングと精神疾患だけでなく、体の病気との関係の研究結果もたくさんありますので、明らか中の明らかです」

 

石戸:「教育では非認知能力が注目されていますが、『本日の話を伺ってウェルビーイングと密接に関係しているという理解であっていますか』という質問が届いています。確かにウェルビーイングにあたって必要な力の話と非認知能力の関連を私自身も感じていたところですが、その因果関係に関する研究結果もたくさんあるのでしょうか」

 

前野氏:「幸せな人は創造性、感性、個性が高いと言いましたが、これはそれぞれの研究結果があります。もちろん、認知能力、学力と幸せの関係もあります。だから、認知能力も非認知能力も幸せと自己肯定感とか自己受容とか、自己有用感とか、『こういう能力があったらよいね』と思うような様々な能力と、幸せの相関は、ほぼあると思ってもらってよいと思います。様々な研究が行われていて、そうであることがわかっています」

 

石戸:「先ほど、幸せの専門家というお話しがあり、これからウェルビーイング学部を新設する大学では、その幸せの専門家を育んでいくんだろうと思います。先生の本で紹介されて、本当に幸せだからこそ生産性が上がっている企業や組織体を複数、紹介されていましたが、現時点において言いますと、元々そういうマインドをお持ちの経営者がその組織を作られたのかなと思います。意識して新しい経営を始めた結果としてこう変わったという事例はありますか」

 

前野氏:「もちろんあります。日本だと、坂本光司先生が書かれている『日本でいちばん大切にしたい会社』に掲載されている企業や、京セラの創業者である故稲盛和夫氏が行っていた盛和塾の塾生の会社など、幸せを目指す企業は多くないけれどもあります。そういうところが、売り上げを伸ばしたり、顧客満足度が高かったりして、その結果として長期的な繁栄に繋がっています。短期的な利益は、ブラック企業が社員に強引にやらせて出ることはありますが、やはり5年、10年と利益が出続けるためには、苦しい時も乗り越えて、景気変動も乗り越える必要がある。そのためには、やはり幸せな社員であることが重要であるということは、幸せな会社の実績によって、エビデンスが出ていると言ってよいと思います。

 

アメリカではもっと進んでいて、最近のオックスフォード大学ウェルビーイングリサーチセンターの研究結果によると、幸せと企業の価値、株価、利益は1,600社の調査によって比例することがわかったというデータも出ています。日本で思う以上に欧米の方が進んでいて、社員を幸せにしない会社はあり得ないぐらいにウェルビーイング経営が進んでいます」

 

石戸:「夢を持てなど、目標を持てと言われること自体が大きなストレスになるという話も聞きますが、先ほどお花していた『みんな仲良く』という話も、時にそれが子どもたち苦しめているという話もあります。そうした、子どもたち、若者に対して、『前野先生であれば、どのような段階的アプローチで変容を促すことができると思われるか』という質問が届いています。いかがでしょうか」

 

前野氏:「夢があった方が『幸せ』だし、良い仲間に恵まれたほうが幸せというのは研究結果より明らかです。しかし無理をすると辛くなるので、仰る通り、これを少しずつ高めていくべきです。『夢を持つなんて辛い』という人は、過去の失敗経験などがあって成長することに抵抗感がある人だと思います。『仲良くするのが怖い』という人は人間関係で過去に傷を負っていて、本当は人と仲良くした方が幸せになるのは統計的に明らかなのに、『自分は怖いから1人でよいんです』という考え方に陥っていると思います。したがって、夢を持つのが怖い、仲良くするのが怖いという人は、実は、幸福度が低い状態です。

 

どうすればよいのかというと、小さい成功体験を重ねることです。心理的安全な場を作って、口数が少なくてもよいですから人と仲良くする体験、小さくてよいから自分の成功体験を積んでいくことによって、 少しずつ改善すると思います。やはり画一的教育をしすぎてクラス全員が同じことを目指すと、一部の人は落ちこぼれて、他の一部の人は退屈になって、 勉強せずに塾行きますというようになってしまいます。北欧に行くと、20人の人がいたら20人全員が、自分の理解度に合わせて学んでるというのですよね。そういうように、各人の適性に合わせた教育をやることによって、 夢を実現する体験と繋がりを感じる体験、それからやりがいを感じる体験を皆が行えます。他人を批判するのではなく、少しずつ11人が能力を伸ばしていって、みんなで見守る。『あー頑張ったね。あなたのペースでよいんだよ』という、個人の差異が尊重されて誰も馬鹿にされない世界を目指すべきです。

 

武蔵野大学ウェルビーイング学部の隣に既に存在しているアントレプレナー学部の伊藤羊一さんは何か夢を語っても誰も笑わない学部にすると仰っています。日本では、『俺、総理大臣になる』って言っても『なれるわけないじゃん』と言われてしまいがちですが、この否定はいらないのです。勉強が遅れている人に対しても『算数、そんなこともできないの』ではなくて、『ああ、よいよ。11からやってみようよ。できたね』という。きめ細かく各人に合わせた教育をしていけば、『みんないろんな夢を持つのはよいことだし、様々な仲良くする仕方もよいことだし、全てインクルーシブだ』という社会づくりができると思います」

 

石戸:「ウェルビーイングとその重要性について『小中学生に対して端的に説明すると前野先生だったらどういう一言で伝えますか』という質問が届いています。最後の締めの言葉をいただけると嬉しいと思いますが、いかがでしょうか」

 

前野氏:「これは簡単です。皆さん幸せになりたいですか。不幸せになりたいですか。不幸せになりたい人はゼロですね。幸せになりたいのだったら幸せになる方法を教えましょう。利己と利他がありますが、利己的だと不幸せになりやすくて、利他的だと幸せになりやすいのですが、みんなさらに聞きたい?と聞いて興味を持たない人はいないです。幸せという言葉に対して抵抗感を感じる人はいますので、私はエビデンスから話すようにしています。幸せだと創造性が高い、寿命も長い、健康である。どうですか。なりたくないですか。私、ノウハウ知ってますよと言って始めれば大丈夫。誰にでも伝わると思います」

 

最後は石戸の「今後、ウェルビーイングが大きく普及し、日本を変えていくきっかけになり得るのではないかと、希望を感じました」との言葉でシンポジウムは幕を閉じた。

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