概要
超教育協会は2023年1月11日、認定NPO法人カタリバ 代表理事の今村 久美氏を招いて、「“オンラインと対面”“行政・学校と民間” の新しい協働によって誰一人とり残さない日本の教育実現へ」と題したオンラインシンポジウムを開催した。
シンポジウムの前半では、まず今村氏が日本の不登校の現状とカタリバの取り組みについて講演し、続けてカタリバが展開するオンライン不登校支援プログラム「room-K」のプロジェクトリーダー・瀬川 知孝氏がその内容について説明した。後半では、超教育協会理事長の石戸 奈々子をファシリテーターに質疑応答を実施した。その前半の模様を紹介する。
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■日時:2023年1月11日(水)12時~12時55分
■講演:
・今村 久美氏
認定NPO法人カタリバ代表理事
・瀬川 知孝氏
room-K プロジェクトマネージャー
ファシリテーター:
石戸 奈々子
超教育協会理事長
講演では、まず今村氏が日本の義務教育における長期欠席や不登校の現状とカタリバが運営する教育支援センターのハブ化について説明し、その後、瀬川氏がroom-Kを使ったサービスについて説明した。主な講演内容は以下のとおり。
▲ 写真1・認定NPO法人カタリバ
代表理事の今村 久美氏
41万3,750人もの長期欠席者 不登校児の36.3%が相談すらできない状況
【今村氏】
NPO法人カタリバは2001年設立で、2023年に22年目を迎えます。「誰一人取り残さない」日本の教育を目指し、経済面や環境面などでハンデを背負った子どもたち、不登校の子どもたちに対する支援にも取り組んでいます。本日は、不登校の子どもたちを支援し、学びの機会を提供するために実証的な取り組みを行っている2つのチャレンジについて説明します。
具体的なチャレンジの中身をお話しする前に、まず日本における義務教育段階の子どもたちの不登校の状況について解説します。
文部科学省が毎年実施している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、全国で41万3,750人の長期欠席者がいます。
▲ スライド1・義務教育の長期欠席者は
前年度より約44%増加している
長期欠席の内訳を見ると、不登校の24万4,940人以外に、まず原因のわからない長期欠席者が5万2,516人います。次に、新型コロナウイルスの感染回避による欠席者が5万9,316人いますが、このうちオンラインなどの選択肢があるのに利用せず長期欠席している子たちも対策を検討する側に入れるべき数字です。また、義務教育は憲法で無料とされているのに経済的理由で行けない子どもが19人います。さらに、病気で学校を休んでいる子どもが5万6,959人いて、この中には病院の院内学級などに参加する手段がない子どもも含まれます。
マスコミなどでは不登校の24万4,940人という数字が踊っていますが、注目すべきは長期欠席している小中学生が41万3,750人もいるという事実です。カタリバでは、これらの子どもたち全てにきちんと対応していくべきと文部科学省にも要望しています。
もう1つの注目すべき事実は、不登校児のうち36.3%もの子どもたちが、なんの相談もできず、指導も受けていない状況にあるということです。(▲スライド2の中央)
▲ スライド2・不登校児童生徒の36.3%は
相談・指導を受けられていない
不登校の24万4,940人のうち、3人に1人は公的支援や民間の学習支援施設などの誰からも指導・支援を受けられずに放置されているということも認識しておくべきことです。
「誰一人取り残さない」教育を目指していても、いざ不登校になってしまうとその瞬間から家庭が子どもの学習権を全て保障しなければならないのが日本の現状です。もちろん、フリースクールに通うという選択肢もありますし、「学校はイノベーティブな才を奪う仕組みだから行かなくてもよい」という意見もあります。しかし、私の感覚では「行きたくなくて敢えて行かない」子どもより「行きたいけれども行けない」子どもが多数派で、その学習費はほぼ全て家庭負担になっているというのが現状です。
例えば、フリースクールに週2日通うと月額平均で約3万3,000円の負担になりますし、東京には週5日で年間120万円というところさえあります。フリースクールに行けばいい、というのは少し乱暴な議論で、重要なのは、そうしたものも含めて活用することができない子どもが36.3%もいることです。
不登校の原因は「無気力」ではない 子どもの声に向き合うことが大切
不登校がなぜ起きるのか、文部科学省の調査では、最も多い不登校の原因は「無気力、不安」で全体の半数近い49.7%、これに「生活リズムの乱れ、あそび、非行」13.1%を合わせた61.4%が「本人起因」です。
▲ スライド3・学校側が調査した
小・中学生の不登校の理由
ただし、文部科学省の調査結果は不登校になった当事者の声をまとめたものではありません。文部科学省から都道府県教育委員会、さらには市町村教育委員会を経由して各学校にアンケートを配布し、それに先生方が「多分こうだろう」と欠席理由を想定して回答しています。つまり、不登校の子ども自身が回答しているのではなく、あくまで先生や学校の見立てです。
だから、無気力・不安で学校に行けない子どもが49.7%という回答には疑問が残ります。多くの子どもは希望を持ってこの世に生まれます。その子がいつしか無気力で不安な状態になってしまうなら、その要因は環境の中にあります。子どもは無気力や不安で学校に行けなくなるのではなく、学校や日常生活がその子の無気力や不安を作り出すと捉える方がより実態に近いのではないでしょうか。
そう考えると、このアンケートが、「学校でのいじめ」のような不登校の明らかな原因になるものと「無気力」を並列に書いているのは不思議な構造です。文部科学省もそろそろアンケートの取り方も改善しないと、構造的な問題は正しく把握できないと考えます。
こうした文部科学省の調査とは異なるものとして、カタリバの不登校支援プログラムを利用した児童・生徒に直接聞き取ったアンケート結果を紹介します。
オンライン回答ということもあり母数が少ないのですが、約7割が「先生の指導に馴染めなかった」ことを不登校の理由に挙げています。
▲ スライド4・子どもの7割が
「先生に馴染めない」と答えている
保護者へのアンケートでも、学校での恐怖や不安、不満が子どものストレスになっているという回答が多く挙げられていて、子どもの無気力を不登校の理由に挙げる学校側の主張とのズレが見えています。
実は、文部科学省でも令和2年度に不登校の当事者1,000人を抽出してアンケートを実施しています。それによると小学生では、不登校の理由として「勉強が分からない」が31%、「先生のこと」が27%、「生活リズムの乱れ」が同じく27%となりました。
中学生へのアンケートでも、「勉強が分からない」42%、「生活リズムの乱れ」35%、「友達のこと」33%という順序です。文部科学省が不登校の子どもたちを対象に実施した調査からも、「本人の無気力」が最多原因という従来のアンケートが少し性急な結論だったといえるのではないでしょうか。
日本財団による2018年の調査結果では、学校で30日以上欠席している長期欠席の子どもの数は約10万人でした。一方で、学校には行けるが授業に前向きに取り組めない教室外当校、部分登校、仮面登校など不登校傾向の子どもが約33万人いることも指摘されています。現在、不登校傾向の子どもが何人くらいなのかは、2018年以降経年調査が行われていないため不明ですが、この間に不登校や長期欠席の子どもが急増していますので、不登校傾向の子どもも急増しているという仮説は成り立ちます。現状を把握するためにも、国として経年調査を行うべきです。
チャレンジその1 教育支援センターを不登校支援のハブに
実際に子どもが不登校になったとき、不登校の原因と結果を単純に結び付けるのは容易ではありません。カタリバの現場からは、状況やタイミングによって打てる手も変わり、声かけの仕方も変えなければいけないという傾向が見えてきています。
まず、不登校の状態は、心のエネルギー値が一旦大きく下がってしまった状態です。休み始めは行き渋りがあり、典型的な症状として腹痛、頭痛、食欲減退などがみられます。以前、子どもの部屋から腐ったおにぎりをたくさん見つけて、弁当を食べられないのが申し訳ないと子どもが隠していたことを知って泣いている保護者がいました。そういう傾向が休み始めの兆候です。
そこからの初期症状として、部屋に閉じこもりがちになって家族との関わりが減ります。保護者が、とにかく学校に行きなさい、頑張れるよと後押ししても、それが親子間の心のズレとなって反発につながりますし、最悪の場合自傷行為が始まってしまうこともあります。
それが休養前期から休養後期、そして回復期に向かっていくと、だんだん落ち着いてきて休むこと自体を申し訳ないと思う段階も過ぎ、乱れがちだった生活リズムも休むことで整っていきます。このとき、伴走上手な保護者だと、学校よりもまず朝一緒に起きて朝食を一緒に食べる、といった約束から生活のリズムを整えていき、一緒に外出できるように導いていくこともできます。
ただ、それですぐに学校に行けばいい、すぐに学習支援を受けられればいいという単純な問題ではありません。子どもの時間軸は千差万別で、このタイミングが1週間の子も1年の子もいます。一人一人取るべき手は変わりますので、35人~40人の子どもを1人の担任の先生がみる学校では、全ての子どもたちへの手厚い支援は行えないことが明白です。
▲ スライド5・不登校には
心のエネルギー量に応じた段階がある
そこで、カタリバでは「2つのチャレンジ」で支援に取り組んでいます。1つ目は「教育支援センターのハブ化」です。
私たちは、不登校の子どもの支援を行政/学校と連携しながら行っています。再び学校に通えることだけがゴールではありませんが、学校に戻りたくなればいつでも滑らかに戻れることを目指し、子ども自身の学びや生活を支えることに取り組んでいます。
▲ スライド6・教育支援センターを
「支援ハブ」へアップデート
その一環として、2015年から島根県雲南市で教育支援センターを運営しています。「教育支援センター」は、以前は「適応指導教室」と呼ばれていた、不登校の支援をする行政機関です。自治体が設置する教育支援センターの多くは、主に退職教員が学習支援を行う場所ですが、私たちはそうしたスタッフが「待っている」場所ではなく、教育支援センター自体がハブとなって各学校や家庭と連携し、子どもが望む学び方に接続する役割を持つと考えました。そして、雲南市の教育支援センターという行政施設の運営を、カタリバが請け負う形で実証的な取り組みを行なってきました。
▲ スライド7・カタリバが島根県雲南市で
運営する教育支援センター
雲南市は、東京23区とほぼ同じ大きさの地域に小学校15校、中学校7校の合計22校が点在する過疎地域で、1カ所しかない教育支援センターには通えない子どもが大勢います。そこで私たちは、まず学校へのアウトリーチとして、22校のどこに不登校や不登校圏内の子がいて、その子は先生との関係性は良いのか、良くなければ誰が声かけをすれば会ってくれるのか、といったことを確認しました。家庭へのアウトリーチでは、その子が自宅からオンラインなら学べるのか、教育支援センターに来ることはできるのか、学校の中の別室だったら学べるのか、といったことを確認して、学校とも協力してそれぞれに応じた学習支援の準備を整えていきました。
▲ スライド8・学校や家庭にアウトリーチして
子どもに合った支援を考える
今後の構想としては、放課後デイサービスや図書館など日中なら学びの場として子どもたちを受け入れられる既存の公共施設との連携も考えています。あくまでも子どもを真ん中に据えて、子どもが学びに再接続することを助ける人や場所、そして学びの材料を用意していく活動を行っています。
不登校支援では、保護者の支援も非常に重要です。保護者が、子どもが不登校になったのは自分が仕事をしているから、声かけが悪いから、怒ってばかりいるからなどと自らを否定して、辛くなって仕事を辞めてしまうケースも少なくありません。そこで、子どもが不登校を経験したけれども無事卒業して大学にも進めたというような人に保護者のメンターや経験談を話し合うボランティアになっていただくなど、自助グループを大切にして支え合っています。
▲ スライド9・不登校対策では
保護者への支援も重要
先述のように、不登校は「学校に行きたくない」子どもより「学校に行けない」子どもが多いのが現状です。雲南市でも毎年100人ほどの子どもが不登校状態になりますが、丁寧に対応することで70%ほどは学校に再接続しています。この中には、毎日学校へ通える状態のほか、「今日は教育支援センター、明日は学校」と学びの場所を変える、あるいは教育支援センターに通ってそこに学校の先生が会い来るなど、さまざまな子どもたちに合わせた学びとの接続形態があります。
ここで過疎地域の実態をイメージしやすい不登校支援の事例を紹介します。小学5年生のAさんは、教育支援センターから25km離れた父親の実家に同居していますが、両親は不仲で父親はあまり家に帰らず、母親は舅姑とも不仲で大きなストレスを抱え、母親とAさんも不仲になる、という悪循環に陥っていました。しかも家族全員が働いているためAさんは一人で過ごすことが多く、Aさんと小学校低学年の弟は2人とも自閉症スペクトラムと診断されています。自宅から学校までも歩いて40分かかるため、学校が関わろうにも時間が取れない状況でした。
そこで、カタリバのスタッフがAさんに会いに行き、近くの学校まで、皆が登校している時間でなければ歩いて行けることを聞き出します。そこでまず、送り迎えをしながら空き教室で先生がサポートして、教育支援センターからオンラインでAさんの学習支援をすることにしました。そこで次第に会話量を増やしていくことで教室にも入れ、先生とも話せるようになっていきました。中学2年生になった今では元気に学校に通い、部活にも参加しているそうです。
これは一つの事例ですが、従来の「待っているだけ」の教育支援センターを、皆ができることを集めて「支援ハブ」へとアップデートしていくことは、各地でもっと進めていくべきと考えています。
▲ スライド10・学校・家庭・行政・民間の
ハブとなる教育支援センター
チャレンジその2 オンライン不登校支援プログラム「room-K」
カタリバのもう一つのチャレンジは、メタバースを使った不登校支援プログラム「room-K」です。プロジェクトマネージャーの瀬川 知孝氏が説明した。
▲ 写真2・room-Kプロジェクトマネージャーの
瀬川 知孝氏
【瀬川氏】
「room-K」は、カタリバが昨年度から取り組んでいる、メタバースを活用したオンラインの不登校支援プログラムです。
▲ スライド12・メタバースを利用したroom-k
見た目はゲームのようですが、中身は2Dのオンラインオフィスなどでも使われるメタバース空間です。複数の自治体から子どもたちをメタバース空間に受入れ、機能の一部であるウェブ会議システムを活用して、動画で紹介したような探究学習プログラムや学習支援、ソーシャルスキルトレーニングなどを行っています。
不登校支援はこれまで、各自治体が独自に、教育支援センターの設置、スクールソーシャルワーカーの雇用、スクールカウンセラーの配置などを行ってきました。しかし、単独では不登校支援に十分な施策や人員を割くことができない自治体も多くあります。そこで、オンラインのメタバース上に教育支援センターを作り、それを複数自治体でシェアできれば、多くの子どもたちに効率よく支援を届けることができると考えてroom-Kの取り組みを始めました。
▲ スライド13・メタバースなら
複数自治体でリソースをシェアできる
ただ、メタバースにするだけで子どもたちが自ら積極的に参加してくれるわけではなく、支援を安定して進めるにはメタバースをうまく利用するための「伴走」が重要です。私たちは、子どもと保護者に「支援計画コーディネーター」と「メンター」というスタッフを加えた4人を一つの支援単位として、子どもたちに伴走しながらメタバース空間で支援を行っています。
支援計画コーディネーターは、個別支援計画を立てて子どもの支援をリードするスタッフで、必要に応じて保護者や先生とコミュニケーションを取り、支援状況の共有も行います。メンターは、子どものお兄さん・お姉さんになる存在で、定期的に話し合って子どもの信頼を獲得したら、メタバース空間に誘い出したり、プログラムへの参加を後押ししたり、悩みの相談を受けたりして子どもに寄り添う役割を担っています。この2人が軸になり、必要に応じてカタリバが契約する社会福祉士や臨床心理士などの専門家に相談・連携できる体制を作ってオンラインでの支援を進めています。
▲ スライド14・支援計画コーディネーターと
メンターが子どもと保護者をサポート
こうした伴走体制があることで、最初は他人とコミュニケーションを取ったり、学習に参加したりできなかった子どもたちに、少しずつ「他の子と話してみようかな」とか「このプログラムに参加してみようかな」という姿勢が育まれていきます。メタバース空間で実施しているプログラムとしては、AIドリルを活用した学習支援、動画教材やプログラミング教材を使って集団で学ぶ教科ワークショップ、社会で生きていくためのスキルを学ぶソーシャルスキルトレーニング(SST)などのほか、参加しやすいものとしてオンライン上のクラブ活動のようなものを用意しています。例えばMinecraft(マイクラ)の教育版を使ってゲームを楽しみながら学べる時間などがあり、いきなり学習に向き合うのは難しい子どもには、まずは楽しく参加できるこうしたクラブ活動から始めて、徐々にオンライン空間での多くの人との関わりに慣れてもらいます。
2021年度の調査では、room-K利用者には不登校状態が長期化している子どもがかなり多く、支援の難易度は高いと言えます。しかし、そうした子どもたちの8割以上が、room-Kのサービスでは少なくとも週1回、継続して何らかの学びの場に参加しています。家の外にある施設に通うことが難しい子どもでも、家でPCを立ち上げればすぐ利用できるオンライン空間なら、まずは週に1回か2回参加するところから始めることができるからです。
▲ スライド15・長期間不登校の子どもも
オンラインなら参加しやすい
埼玉県戸田市や広島県など 全国7自治体+1校と連携
現在、room-Kは、全国の7自治体及び1校と連携しています。
▲ スライド16・現在、room-Kは
全国7自治体+1校と連携中
このうち、埼玉県戸田市及び広島県との連携事例について紹介します。埼玉県戸田市は、room-K以外にもさまざまな不登校支援策を用意しています。その中でroom-Kの位置付けは、教育支援センターへ通うのが難しい、別室登校も難しい、自宅からなかなか出られないといった事情で他の支援機関につながっていない子どもを重点的な対象として導入・利用いただく支援策となっています。
具体的な連携の仕方は、まずカタリバと教育委員会が連携協定を結び、各学校・教育支援センターにroom-Kの施策を周知いただきます。各学校には、room-Kと定期的に情報共有し、保護者・利用者に紹介する役割を担う、窓口役の先生を配置していただき、私どもからパンフレット類を配布しています。
ここからroom-Kを勧められて支援が開始された子どもに関しては、学校・教育委員会と月次レポートのような形で定期的に情報を共有すると共に、学期に一度程度はオンラインで面談して直接子どもたちの情報を共有します。
room-Kは昨年度から始まったばかりの取り組みであり、まだまだ周知不十分など小さい課題はありますが、徐々に自治体の中でも認知が進み、子どもたちもまずオンラインを楽しむところから入ってくる状況が少しずつ生まれています。こうした連携の仕方がroom-Kの基本です。
▲ スライド17・戸田市でのroom-K利用の流れ
次に広島県の事例ですが、広島県は既に「SCHOOL”S”」という県独自のオンライン教育支援センターを持っていますので、ここにオンラインもしくはリアルで通う子どもたちがroom-Kの各種プログラムに参加できる形での連携を行っています。自治体が独自に多くのプログラムを用意するのは大変ですが、私たちが作っているものを利用していただくことで子どもたちの学びの選択肢を増やす、こうした連携のあり方を模索している状況です。
私たちは、オンラインの不登校支援を導入することで子どもの居場所の選択肢が増え、それぞれの支援の質が高まり、その支援に子どもたちがよりよく接続されていくことが重要と考えています。単にオンライン支援の導入にとどまらず、自治体の支援メニューの全体を把握して、どういう支援と連携して情報を共有し、子どもたちに適切にマッチングしていけばいいのかを統括的な視点で考え、子どもたちのより良い学びにつながるお手伝いをしていくことを目指しています。
▲ スライド18・カタリバが目指す
不登校支援のあるべき姿
>> 後半へ続く