教育情報化推進法成立記念シンポジウム
第二部レポート

プロジェクト活動|レポート

2019.10.11 Fri

概要

2019年6月に「学校教育の情報化の推進に関する法律」が公布・施行されたことを記念し、シンポジウムを開催いたしました。
この法案は、与野党の超党派国会議員による「教育におけるICT利活用促進をめざす議員連盟」が策定したもので、超教育協会の関係者も作業に加わり作成しました。
議連のメンバー、文部科学省、総務省、経済産業省に企業から参加者を交えて議論した第二部のレポートです。
>> 第一部レポートはこちら
 
日時:10月3日(木)
   一部:16:00~17:30
   二部:17:30~19:00

参加メンバー

(※敬称略)
遠藤利明衆議院議員
中川正春衆議院議員
盛山正仁衆議院議員
石橋通宏参議院議員 
髙谷浩樹  文部科学省 初等中等教育局 情報教育・外国語教育課長
浅野大介  経済産業省商務・サービスグループサービス政策課長(兼)教育産業室長
吉田正彦  総務省 情報流通行政局 情報流通振興課長
中村伊知哉 慶応義塾大学教授
石戸奈々子 超教育協会 理事長
横尾俊彦  佐賀県多久市⻑、全国 ICT 教育首⻑協議会 会⻑
小出泰久  グーグル合同会社 Google for Education Japan代表
神野元基  株式会社COMPASS 代表取締役CEO
森下耕治  光村図書出版株式会社 ICT事業本部 普及促進部長
大富部貴彦 アマゾンウェブサービスジャパン株式会社パブリックセクター営業本部本部長

第二部

 第二部からは、急遽 全国 ICT 教育首⻑協議会 会⻑の横尾多久市長に登壇頂き、さらに企業の方も加わりプレゼン・討議が行われた。
 

 横尾市長からは、「学校教育情報化推進法を励みに」と題するプレゼンが行われた。全国ICT教育首長協議会では文部科学大臣へICT教育推進の提言などを行なってきたが、自治体の悩みは整備財源不足、地域の人材不足、ICT支援員不足などいろいろあり、課題分析を行い、解決策を提示してきた。特に自治体で教育のICT化が進まない。
 原因は今回の法律成立前は自治体の予算確保、必要性・有用性の認識の共有、関係機関の連携であったが、今後の課題は低価格デバイスなど、全国一斉普及を促す国としての支援策が必要な事である。すなわち調達に関する改革・規制の改革・そしてクラウド活用に向けての改革が必要。
 全国ICT首長者協会を通じ「協働での導入・活用」へ向けて提案し改善促進したいとの話があった。
 

 続いて石戸理事長から超教育協会の活動状況について報告があった。2018年5月に発足した超教育協会は31団体が参画し、傘下に8000社がある。先端技術の教育活用の推進に向け、AI×教育、クラウド×教育、著作権、ブロックチェーン×教育、VR×教育、プログラミング×教育のワーキンググループチームにて検討しており、更に大学の横の枠を超え、また高校・大学といった縦の枠を超えて学校のあり方を考える超学校ワーキンググループを今後発足させていくとの説明があった。
 

 グーグル合同会社(以下、グーグル) Google for Education Japan代表の小出泰久氏からは、新しい選択肢について話があった。昨年の夏にGoogleは教育へのICT投資に向け日本で組織を作り、廉価な端末に取り組んでいる。アメリカの教育現場で70%はChromebook、世界の教育現場50%でChromebookが採用されており、プラットフォームのプロとしてセキュリティを担保して世界標準のより低価格でより良いプラットフォームを選択肢として提供していきたい。
 

 続いて株式会社COMPASS(以下、COMPASS) 代表取締役CEOの神野元基氏からAI型タブレット型教材Qubenaによる麹町中学校での経済産業省「未来の教室」実証事業について説明があった。Qubenaによる中学校1年生の学習効果として単元62時間が38時間に短縮でき、残りの28時間でSTEM学習や2年生の単元も実施する事ができ、また生徒自身も楽しく、教え合いながら勉強できるなど素晴らしい効果が確認できた旨の説明があった。
 

 光村図書出版株式会社(以下、光村図書) ICT事業本部 普及促進部長の森下耕治氏からは「学習者用デジタル教科書の制度化と現場の実態について」と題し説明があった。まず教科書とデジタル教科書・教材の関係を説明、学習者用デジタル教科書と学習者用デジタル教材(動画・朗読・ワーク・QR等)の一体活用が有効、学習者用デジタル教科書の目的は「新たな学びの実現化」と「誰もが学びやすい教科書を」との2点を指摘。学習者が個別に読解活動に取り組み、全員が自ら考えた事を可視化し、グループで各自が読解した画面を見ながら、グループ内で比較、意見交換する場面を紹介。今後の理解促進が重要と述べた。
 

 最後にアマゾンウェブサービスジャパン株式会社(以下、AWS)パブリックセクター営業本部本部長の大富部貴彦氏から教育でのクラウド利用について説明があり、AWSクラウドが全世界の教育機関で活用されている状況、USの教育系スタートアップで資金的に成功しているトップ20社の内19社が使用している状況などが説明された。またクラウドを活用する事で、「インターネットへの接続を 仮想化技術を用いて分離」する事でセキュリティを高めることを紹介。最後に2020年までに約60万人のIT人材が不足する中でクラウドスキル習得のためのプログラムを提供している旨が説明された。
 
 この後討議に移り、日本の教育情報化の現状については各社遅れているが、伸びしろがあるとの認識であり、光村図書の森下氏からデジタル教科書の普及率が50%を超えた状況と教育用コンピューターの台数が生徒1167万人に対し、217万台の現状が報告された。これをマッチするためにはBYOD導入の必要性とそのためのクラウド活用についての視点につき討議があった。
 
 COMPASSの神野氏からは中国・インドが人口増と教育の質が低いためEdtech企業が急速に生まれている点および日本・アメリカは教育の質が高いのでEdtech企業の求められている点が異なり、中国・インドに比較し難しい点などが指摘された。
 
 また、小中高大学の現場の先生に如何に理解してもらうか、教員養成が課題との討議があり、文部科学省の神谷課長からは文部科学省としても認識しており、取り組んでいく旨の話があった。
 
 次にこの法律により日本は教育ICT化のフロントランナーに立てるかとの質問に対しては、COMPASSの神野氏からは今やればフロントランナーに立てる、5年たったら遅い。
 
 AWSの大富部氏からは生徒が使いたい物を、使いたい時に、使えて、そういう所に民間が参入できる環境を作ることが重要と考えるとの指摘があった。グーグルの小出氏からはこの3年が勝負。1兆3,000億円投資すれば、1,300万人の生徒に一人一台PCが普及するとの話があった。
 
 又、AI時代の次の技術についての問いには、現在の技術により、何故、どうしてと言える子供を育てることが重要との経済産業省の浅野課長からの指摘や、光村図書の森下氏から、学校・家庭・塾等が教科書・教材と教育サービスの学習履歴データを共有したサービスと連携していくことになっていくとの見方が示された。
 
 石橋議員から法律を契機に大胆に取り組むことを政治が覚悟し、皆で取り組む総力戦との認識が示されると共に、盛山議員からは暑い、痛いなど実際に経験することの重要性とICTを活用した教育のバランスを取っていくことの重要性が指摘された。
 
 最後に中川議員から現場の人材育成とITC機器を使いこなす環境づくりを行いながら、進めていく我々の意思が重要との話があり、本日のシンポジウムを終了した。

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